協和キリン ルミセフ「全身性強皮症」の承認事項一部変更承認申請を取り下げ 今後の対応は「未定」
公開日時 2024/10/04 04:50
協和キリンは10月3日、ルミセフ(ブロダルマブ・遺伝子組換え)の「全身性強皮症」を予定適応症とする厚労省への承認事項一部変更承認申請を取り下げると発表した。同社によると、承認審査過程でPMDAから指摘された内容に対し、「これまでに実施した臨床試験で得られたデータでは十分な回答をすることは難しい」と判断し、全身性強皮症の国内適応追加の承認を取得することが困難となり、申請を取り下げたと説明している。同社コーポレートコミュニケーション部は、今後の対応について、「未定」とコメントした。
同剤は、中等症から重症の皮膚硬化を有する全身性強皮症患者100症例を対象とした国内第3相臨床試験の結果に基づき、2021年12月15日に承認事項一部変更承認申請を行っていた。第3相臨床試験の主要評価項目は、投与24週時点におけるmRSSのベースラインからの変化量で、ブロダルマブ投与群はプラセボ群と比較して統計学的に有意なmRSSの低下が認められ、同剤の皮膚硬化に対する改善効果が検証された。安全性も新たな問題は認められなかった。
◎PMDAからの指摘 「当局との話し合いの内容については開示できない」とコメント
ただ、同社はPMDAから「承認審査の過程における指摘」に対し、これまで実施した臨床試験で得られたデータでは十分な回答をすることが難しいと指摘。PMDAの指摘に対して「申請内容を基に承認を取得することは困難と判断」したことを明らかにしている。PMDAからの指摘の内容について同社は、「当局との話し合いの内容については開示できない」とコメントしており、今後追加の試験を行い、再度申請するかどうかも「未定」と回答した。
なお、ルミセフはインターロイキン(IL)-17受容体Aに対するヒト型抗体で、IL-17受容体Aに特異的に結合することで炎症性サイトカインであるIL-17A、IL-17A/F、IL-17F、IL-17C等の機能を阻害する。2016年7月に、既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、乾癬性関節炎、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症を適応症として、世界に先駆けて日本で承認を取得した。また、2020年11月に強直性脊椎炎、X線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、2023年8月に掌蹠膿疱症を適応症とした承認を取得。また、全身性強皮症を予定される効能または効果として、厚労省から希少疾病用医薬品の指定を2019年12月10日に受けている。