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5月ぶりの「医師の働き方改革推進検討会」で激震 兼業の時間外労働含めるかで B水準の範囲見直しへ

公開日時 2020/09/03 04:50
厚生労働省は8月28日、第8回「医師の働き方改革の推進に関する検討会」を開催した。3月11日の前回から5月以上経過しての開催で、一部の構成員はオンライン会議での参加だった。第7回の検討会では医師労働時間短縮計画策定ガイドラインの骨子案が示されたが、厚労省は今回、同ガイドライン案を提示。ただし前回に引き続いて兼業・副業の取扱いなどで多くの疑義が寄せられたほか、B水準の範囲見直しの議論にまで発展、宿日直許可の問題も絡んで、もつれた糸はなかなかほどけそうにない。同ガイドラインのとりまとめにはなお時間がかかる見込みだ。

◎兼業先の事後申告、代償休息で対応 派遣控えなど地域医療への影響懸念

前回のガイドライン骨子案に関する議論では、追加的健康確保措置をめぐる副業・兼業先の労働時間の通算について「勤務実態を把握しておかないと連続勤務時間制限・勤務間インターバルに対応する事前のシフト表が組めない」「本務先で把握していない突発的に発生した労働時間の事後的な申告への対応は困難」など構成員から多数の疑問が寄せられていた。

このため今回の検討会で事務局は「議論のまとめ」として、▽2018年1月に策定された「副業・兼業の促進に関するガイドライン」(一般則)と同様に、労働時間管理については自己申告をベースとし、医療機関は把握した時間に基づき、追加的健康確保措置を実施する義務を負い、またシフトを組む▽原則事前に自己申告してもらい、事後的な申告には代償休息で対応──といった一定の方向性を示している。

しかし、構成員の納得を得られたとは言えず、「本務先では代償休息が発生しないように調整できるが、兼業先でコントロールできないとなると極端な話、代償休息が生じるような兼業は控えさせるといった事態を招きかねない」(山本修一構成員・千葉大学副学長)と地域医療への影響を懸念する指摘のほか、「医師の自発的な兼業・副業と、本務先が指定した地域医療体制の確保のための兼業を明確に区別し、前者は一般則の考え方でよいが、後者については独自の仕組みを考えたほうがいい」(島田陽一構成員・早稲田大学法学部教授)といった抜本的な見直しを求める声があがった。

◎兼業との通算で960時間超 時短計画の策定はどうなる?

 また兼業・副業の取扱いとの関連で、事務局が作成した医師労働時間短縮計画策定ガイドライン案について早くも修正が迫られている。同ガイドラインにおける時短計画の策定義務対象医療機関は、いわゆるB水準の医師が勤務する医療機関を想定していて、同水準は主たる勤務先での時間外労働時間が960時間超の勤務医が対象となる。

一方、今回の検討会では、2大学病院の勤務医の勤務実態を調べた「医師の働き方改革の地域医療への影響に関する調査」の結果が報告されており、主たる勤務先で960時間以内でも兼業・副業による時間外労働時間を含めて960時間超となる勤務医が多く見受けられた。

調査を行った研究班は、このような医師についても時短計画策定の対象にしていくべきではないかと提言。これを受けて事務局はガイドライン案の同項目に【P】と記載して結論をペンディングとし、「B水準の医療機関の範囲をあらためて整理する必要がある」と明言、そのうえで「自院だけで960時間を超えていないケースにどういった時短計画が考えられるか、あるいはどう評価するのかは、これまで議論してきた時短計画および評価とは当然異なる部分も出てくる。そこも整理したうえで次回以降、対応したい」としている。

これまで行われてきた働き方改革の議論の根底が覆されたと言っても過言ではなく、B水準の対象を兼業の時間外労働時間と通算する場合まで拡大すると、事業所単位で締結する36協定はどうなるのかなど、付随して整理や調整が必要な課題は少なくない。

◎大学病院の1860時間超の勤務医 宿日直の待機時間除外で大幅減


この問題をさらに複雑にしているのが、医療機関の宿日直への対応だ。先出の「地域医療への影響に関する調査」では、「大学病院と兼務先の労働時間を通算するとB水準の上限である1860時間を超える勤務医は一定数いるが、労働時間から宿日直中の待機時間を除外するとその割合は顕著に低くなる」との結果が明らかになった。

同調査をまとめた裵英洙氏(慶應義塾大学健康マネジメント研究科特任教授)は、「宿日直許可を受けているか受けていないかによってかなり結果が大きく左右される」と指摘している。宿日直許可とは十分な睡眠が取れるなどの条件を満たし、労働基準監督署の許可を受けていれば、労働時間に算入されないというもので、昨年7月の通知で宿日直許可基準が緩和され、医療機関は許可を得られやすくなったと言われている。

しかし、「通知が出た後も、実際には何も変わっていない」(鈴木幸雄構成員:横浜市立大学産婦人科助教)との指摘もあり、兼業先での宿日直の実態が取り沙汰された。医師を派遣する大学病院等は自院だけでなく、関連病院で宿日直許可基準を満たしているのかどうかの把握なども必要となりそうだ。これに対して山本修一構成員は、「大学病院だけでは解決できない。地域医療全体で考えていくべき問題」と述べ、大学病院の負担増に懸念を示している。


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