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厚労省・水谷産情課長 創薬力強化で医薬品業界の構造改革を促す 新薬メーカーも「方向性の見定めを」

公開日時 2025/06/06 07:00
厚生労働省医政局医薬産業振興・医療情報画課の水谷忠由課長は6月5日、医薬化粧品産業労働組合連合会(薬粧連合)主催の政策セミナーで講演した。政府をあげて創薬力強化を推進するなかで、医薬品業界の構造改革を進める必要性に言及。自民党の社会保障制度調査会「創薬力の強化育成等に関するPT」の提言を引き合いに、新薬メーカーの将来に姿として、革新的新薬を展開する“真のグローバルファーマ”のほか、ドラッグ・ラグ・ロス解消に貢献する“中堅新薬メーカー”の姿を紹介した。医薬品業界をめぐる環境変化が大きい中で、水谷課長は各企業が自らの立ち位置を認識する必要性を指摘。「それぞれの企業が自分たちの方向性を見定めていかなければいかないのではないか」と述べ、自ら考え、将来の姿を描くよう、呼びかけた。

◎自民党・創薬力強化PTの提言 “真のグローバルファーマ”、“中堅新薬メーカー”の姿など描く

水谷課長は自民党社会保障制度調査会「創薬力の強化育成等に関するPT」が5月27日に取りまとめた「創薬力の抜本的強化に向けた提言」のなかで示された医薬品業界の構造改革の方向性について紹介した。新薬メーカーの将来の姿として、事業規模の拡大による“真のグローバルファーマ”、中堅新薬メーカーなどの姿を描いている。

真のグローバルファーマについては、革新的新薬を創出し、グローバル展開することまで見据える。一方で、こうした姿を実現できない場合は“中堅新薬メーカー”として立ち位置を明確化することが必要としている。水谷課長は、「中堅新薬メーカーは必要ないということではなく、例えば自社創出品の日本・アジアでの開発・販売、あるいは海外で開発されたシーズ・製品を導入する役割もあると思っている」と説明。「これはドラッグ、ラグロスの解消という観点から、非常に重要な役割だと思うし、そうしたものを意識したビジネスモデル」を構築することをあげた。また、CMOやCDMOに特化した姿や、バイオテックのビジネスモデルなども選択肢にあげた。

◎製薬企業の立ち位置「明確にしていくべき」 皆が真のグローバルファーマを目指すことが現実的か?

水谷課長は、「真のグローバルファーマを皆が目指すということが現実的か、それは皆さま方で考えていただき、別のもの、つまり、何かに特化した形を目指すということも当然あろうかと思う」との見解を表明。「それぞれの企業が自分たちの方向性を見定めていかなければいかないのではないか。そういうメッセージなのかなと受け止めている」と述べた。

続けて、「自分たちの立ち位置というものをきちんと意識していくべき。いまは(製薬企業の姿が)ぐちゃっとしているものを、立ち位置を少し明確にしていくべき。そうした議論が自民党のなかで行われているということ」と説明した。

岸田首相(当時)が昨年7月の創薬エコシステムサミットで、「産業界におかれては、政府の政策、創薬環境、市場環境の変化を踏まえた構造改革が進められることを期待している」と述べたことも一つのメッセージと紹介。製薬企業が自ら立ち位置を明確化し、将来の姿を描く必要性を強調した。

◎GEの構造改革 「財務省から“アメとムチのアメばかりではダメ。ちゃんとムチもやってください”」

ジェネリックメーカーの構造改革について言及。現在は190社あるものの、上位9社で5割を製造している状況にある。工場の稼働率が低いケースも指摘されている。厚労省は、24年度補正予算として「後発医薬品の産業構造改革のための支援事業」を行い、ジェネリックメーカー間の連携・協力を推進する。また、独占禁止法との関係を整理するなど環境整備を進めている。

水谷課長は、「こうしたことをやっていると、私は財務省から“アメとムチのアメばかりではダメですよ。ちゃんとムチもやってください”と言われる。これは、財務省だけでなく、関係する方々とお話していると言われている」と言及。「私なりに業界のことを極力理解し、業界再編という大きさも十分理解しながら、できる限りの環境整備しているつもりだ。ただ、それが一般的な目から見ると、もう4年以上も安定供給の問題が続いている中で、なんでこんな手ぬるいことをやっているんだ、もっとしっかりしろというような形で厳しいお声をいただくのも事実だ」と話した。

◎GEの再編 各企業の模索を「大いに歓迎」

そのうえで水谷課長は、「我々は、もちろん支援、環境整備をするが、一方ではやることをきちんとやっていただく。そういうものはお願いしていくということは、毅然とした対応を示さなければいけないと思っている」と語った。そのうえで、後発品をめぐっては、24年度薬価改定で企業指標が施行導入され、25年度から本格実施されている状況にある。26年度には企業評価が公表されることにも言及した。

後発品業界の再編をめぐっては、Meiji Seikaファルマとダイトが品目統合(屋号の統一)を視野に“新・コンソーシアム構想”実現に向けた協議を開始するなど動きも出始めている。水谷課長は、「一つの形が正解としてあるわけではないと思っている。各企業それぞれの形を模索していただきながら、進めていただくことを大いに歓迎をしたい。様々な形で広がっていくことに期待したい」と呼びかけた。



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