A.T.カーニー株式会社シニアパートナー後藤良平前回までの記事では、薬剤のもたらす価値が臨床的価値を超え、経済的・社会的価値を包含しつつある点、及びその流れを踏まえた価値ベースの医療エコシステムが世界各地で成立しつつある点を紹介した。本稿では、このような環境変化に対応し、製薬会社の営業モデルが目指すべき進化の方向性を論じたい。現在までの製薬会社の営業モデル進化の振り返り過去10年以上に亘り、製薬会社の営業モデルは多くの変化に直面してきた。担当領域を絞り込むことで専門性の底上げを狙った「領域別」ＭＲの設置、或いはメディカル観点から非コマーシャル活動を行うMSLの設置、更にはe-detailingへのシフト・融合が大きな変化のポイントだったと言える。近年においては、地域包括ケアモデルへの対応を目...