中外製薬・奥田社長CEO 肥満症領域のフランチャイズ強化へ TOPi2030後半5年の経営の一つのテーマ
公開日時 2026/07/28 04:53

中外製薬の奥田修代表取締役社長CEOは7月27日、メディア向け懇談会で、肥満症領域についてロシュグループ内のフランチャイズ強化に努めていく方針を明らかにした。同社の肥満症領域には自社創製のGYM329(emugrobart)や、ロシュが米バイオ企業を買収して獲得したRG6640(enicepatide:CT-388)の臨床試験がそれぞれ進行中だ。また、同社創製で米イーライリリーに導出し、4月から米国で発売した経口GLP-1受容体作動薬Foundayo(オルホルグリプロン)のロイヤルティ収入が第2四半期から計上されるなど利益貢献のフェーズに入った。奥田社長は、「実際に(開発中の)肥満症薬の発売はもう少し後(2029年以降)だが、営業・マーケティング体制を構築していくのがTOPi2030の後半5年の経営の一つのテーマになっている」と語った。
◎リリー導出の自社創製Foundayo 第2四半期からロイヤルティ収入で業績貢献
グローバル市場で急拡大している肥満症市場にロシュグループの中外製薬も熱視線を送っている。中外製薬の自社創製品であるFoundayoは、米リリーがFDAの承認を得て、4月から販売を開始した。GLP-1製剤の使用経験のない患者を中心に処方が進んでおり、経口剤市場の初期需要も拡大傾向にあるという。リリーは直搬ルートに加えて民間保険やメディケアを通じて市場アクセスを拡大しており、米アナリストの間では2030年売上予測で年間2兆円規模のメガヒット製品になるとの見方も出ている。中外製薬への業績貢献(ロイヤルティ収入)も26年12月期第2四半期から始まるため、ガルデルマ社に導出したNEMLUVIO(ロイヤルティ収入+輸出売上)と並んで「その他の売上収益」の牽引役になることは間違いない。
◎肥満症治療候補薬GYM329、米バイオ企業買収で得たRG6640 2029年以降に照準
一方で、自社創製品の肥満症治療候補薬GYM329(emugrobart)は、抗潜在型ミオスタチンスイーピング抗体として筋肉の成長を抑えるミオスタチンの作用を阻害して筋萎縮などの改善を狙う薬剤。脊髄性筋萎縮症(SMA)および顔面肩甲上腕型筋ジストロフィー(FSHD)で臨床試験を行ったが、運動機能の改善に結びつかなかったとして神経筋疾患での開発を中止。一方で肥満症については第2相臨床試験について継続中で、同社の公表した開発パイプラインリストには「2029年以降」申請と記載されている。また、スイス・ロシュが肥満症候補薬を獲得するために27億ドルで買収した米バイオ医薬品企業カーモット・セラピューティクス(Carmot Therapeutics)のRG6640(エニセパチド:CT-388)は、第3相臨床試験(Enith1試験など)を開始している。
◎日本はCVRMにおいて参入 疾患戦略を検討 営業・マーケティング体制の構築も
奥田社長は、「ロシュが肥満症領域に参入したことで、中外製薬としてもカーディオバスキュラー領域でのフランチャイズの強化に努めていく」と強調。「中外製薬とロシュの戦略的アライアンスを考えると、日本のテリトリーにおいては中外製薬がCVRM(循環器・腎臓・代謝疾患:Cardiovascular, Renal and Metabolism)において参入していくことになる。それについては疾患戦略を社内で検討して作り上げていきたい」と述べた。また、自社開発中の肥満症薬の申請はまだ少し先と見通しながらも、「営業体制・マーケティング体制を構築していくのがTOPi2030後半5年の経営の一つのテーマになっている」と強調した。