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厚労省 モデルナとアストラゼネカの新型コロナワクチンを特例承認 モデルナ製のみ公的接種の対象

公開日時 2021/05/21 15:30
厚生労働省は5月21日、モデルナ社製とアストラゼネカ(AZ)製の新型コロナワクチンについて、薬機法第14条の3に基づき特例承認した。この日午前に開いた厚生科学審議会(厚科審)予防接種・ワクチン分科会で接種対象範囲や公的接種とするかどうかなどを検討した結果、モデルナ製ワクチンは公的接種の対象とする一方で、AZ製ワクチンは現時点では公的接種の対象外とすることを決めた。

AZ製ワクチンを公的接種の対象外とした主な理由は、海外での使用時に極めて稀に血小板減少症を伴う血栓症がみられ、その発症メカニズムなどが必ずしも科学的に明らかになっていないため。分科会はこの日、「諸外国における高齢者以外の層への接種推奨の状況などを注視しながら、我が国における使用のあり方について引き続き検討する」ことを了承した。高齢者以外の層への状況を注視するのは、日本では高齢者へのワクチン配分のメドが立っており、AZ製ワクチンは主に高齢者以外の層への使用が想定されるため。

◎公的接種対象外のAZ製ワクチン 現時点では流通されない

現時点でAZ製ワクチンは任意接種(自費で接種)と同じ位置づけだが、コロナワクチンは国が買い取り、流通させるため、実際には国内市場に正規のAZ製ワクチンは流通されない。任意接種との位置づけであっても、AZ製ワクチンを国内で使用できる機会は現時点ではない。

◎モデルナ製の有効率 感染歴のない被験者で94.1%、感染歴を問わない被験者で93.6%


モデルナ製ワクチンの名称は「COVID-19ワクチンモデルナ筋注」(一般名:コロナウイルス修飾ウリジンRNAワクチン(SARS-CoV-2))。効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症の予防」。用法・用量は、「1回0.5mLを2回、通常、4週間の間隔をおいて、筋肉内に接種する」となった。接種対象者は「18歳以上の者」。1回目の接種から4週間を超えた場合は、「できる限り速やかに2回目の接種を実施すること」とした。

接種不適当者は、▽明らかに発熱を呈している者▽重篤な急性疾患にかかっていることが明らかな者▽本剤の成分に対し重度の過敏症の既往歴のある者▽予防接種を行うことが不適当な状態にある者――で、既承認で公的接種の対象となっているファイザーのコミナティ筋注と同じ。

モデルナ製ワクチンはメッセンジャーRNA(mRNA)ワクチンで、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のスパイクタンパク質をコードするmRNAを脂質ナノ粒子に封入したもの。当該mRNAがヒトの宿主細胞内に送達され、SARS-CoV-2のスパイクタンパク質が発現すると、当該タンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導され、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられている。

臨床試験で感染歴のない被験者で94.1%、感染歴を問わない被験者では93.6%のワクチン有効率が確認されている。この日の分科会でも、「現時点で、臨時接種として使用することに関し、安全性に関する重大な懸念は認められないと考えられる」と確認された。

モデルナ、パートナー企業の武田薬品、厚労省の三者は9月までに5000万回分(2500万人分)を国内供給することで合意しており、6月までに4000万回分、7~9月までに1000万回分を供給する予定。

◎AZ製ワクチン 「最大の効果を得るために8週以上の間隔おいて」

AZ製ワクチンの名称は「バキスゼブリア筋注」(一般名:コロナウイルス(SARS-CoV-2)ワクチン(遺伝子組換えサルアデノウイルスベクター))で、チンパンジーのアデノウイルスをベクターとして使用したワクチン。効能・効果は「SARS-CoV-2による感染症の予防」。用法・用量は「1回0.5mLを4~12週間の間隔をおいて、2回筋肉内に接種する」となった。用法・用量に関連する注意として、「本剤の最大の効果を得るためには8週以上の間隔をおいて接種することが望ましい」と記載された。接種対象者は「18歳以上の者」。

接種不適当者は、モデルナ製及びファイザー製と同様の「明らかに発熱を呈している者」など4者に加え、「SARS-CoV-2ワクチンの接種後に血小板減少症を伴う静脈もしくは動脈の血栓症を発現したことのある者」が追加された。1回目の接種で血栓症が発現した者に2回目の接種は不可ということになる。

AZ製ワクチンはチンパンジーのアデノウイルスをベクターとして使用したワクチン。接種後、新型コロナウイルスのスパイクタンパク質が宿主細胞で発現すると、当該タンパク質に対する中和抗体産生及び細胞性免疫応答が誘導され、SARS-CoV-2による感染症の予防ができると考えられている。

臨床試験を通じて70.42%などのワクチン有効率が確認されている。ただ、諸外国の実使用において血小板減少症を伴う血栓症の発生が確認されており、その発症メカニズムなどは必ずしも明らかになっていない。

なお、日本政府とAZとの契約では、「新型コロナウイルスのワクチン開発に成功した場合」に、1億2000万回分(6000万人分)のワクチン供給を受けることになっている。AZ製ワクチンは国内で原液をJCRファーマが製造し、バイアルの充填や包装などの製剤化は第一三共とKMバイオロジクスが行う。ワクチンの保管・配送はMeiji Seika ファルマが担う。安全性情報の収集や情報提供活動は、AZが構築するウエブやメールを基本とするが、メールでの対応が難しい場合や副作用の再調査が必要な場合など、対面での対応が必要な場合は必要に応じてMeiji Seika ファルマのMRが担当する。
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