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エーザイ 中国のデジタルプラットフォーム インターネット病院とモールサービス事業を21年度中に本格始動

公開日時 2021/11/01 04:53
エーザイは中国のEC大手・京東ヘルス(京東健康)と構築するデジタルサービスプラットフォームを通じたビジネスを2021年度中に本格始動させる。まずは、インターネット病院とモールサービス事業をスタートさせる方針だ。岡田安史代表執行役COOは、「ライセンスが取れ、規制上のハードルをすべてクリアした。個人情報保護対応も含めて、準備を進めている段階だ」と話す。個人に合致したサービスの提供で、「認知症を中心に、中国国民の健康増進、健康寿命の延伸に貢献したい」と意欲をみせる。

◎認知症を中心に中国の健康増進、健康寿命の延伸に貢献

認知症を疑った際のセルフチェックからヘルスケア相談、オンライン診療、さらには医薬品の患者宅への配送、介護施設の紹介まで、一つのオンラインプラットフォームで完結する――。エーザイが京東ヘルスとタッグを組み、中国で進めるワンストップ・デジタルサービスプラットフォームは、こんな世界をぐっと身近なものにしようとしている。

エーザイは2020年10月、京東グループ(Jing Dong、JD)の京東ヘルスとエーザイ中国による合弁会社を設立した。合弁会社は京東ヘルスが51%、エーザイが49%を出資する。目指すのは高齢者、特に認知症に関するワンストップ・デジタルサービスプラットフォームの構築だ。プラットフォームでは、認知症患者と患者家族を対象に、①コミュニティ(疾患理解促進、セルフチェック)、②医療(オンライン診療、ヘルスケア相談)、③介護(介護施設紹介、介護知識発信)、④モール(患者、患者家族に特化した商品販売、医薬品の販売)――を柱に、サービスを展開する。

◎「健康寿命の延伸に取り組むことがアスピレーションだ」 岡田COO

「認知症の前段階である軽度認知障害(MCI)や健常人、患者家族も含めてプラットフォームを利活用いただき、ともに健康寿命の延伸に取り組むことがアスピレーションだ」――。岡田COOはこう強調する。
 パートナーシップを組んだ京東グループは「BATJ(Baidu、Alibaba、Tencent、Jingdong)」と称される中国版GAFAの一角を占める巨大企業だ。中国国内では3億3000万人のアクティブユーザーがおり、中国の99%をカバーする物流インフラを有している。

高齢化の進む中国では、認知症患者が1000万人超と近年急増しており、社会問題となっている。都市部の富裕層に注目が集まりがちだが、農村部をはじめとした辺縁地域での認知症の疾患啓発や早期介入も重要性が増している。岡田COOは、「京東ヘルスは、富裕層だけでなく、14億人の中国国民に対して必要なものをお届けするという考えを持っている」と話し、同社の掲げる“hhc(ヒューマン・ヘルスケア)”と通ずるものがあったと話す。

京東ヘルスは、eコマースの基盤、インターネット病院や物流インフラを有する。コロナ禍でオンライン診療が拡がるなかで、利用者数も伸ばしている。中国での高い認知度で早期のユーザー拡大も期待されるところだ。物流インフラに強みを有する京東ヘルスは、ドローンを活用し、辺縁部であっても翌日には医薬品や日用品を配送することも可能だという。一方で、エーザイは認知症の治療薬や早期チェックツールなどに加え、認知症専門医とのネットワークを有している強みがある。合弁会社の設立で、両社の強みを生かして、ビジネスを最大化させたい考えだ。構築したプラットフォームには、それぞれのサービスを有する企業が出展する姿を描く。

◎9月にインターネット病院の営業許可取得

いま最も注力するのがオンライン診療だ。今年9月にはインターネット病院(オンライン診療)の営業許可を取得した。個人情報保護法を強化している中国では外資がライセンスを取得するには障壁もあるなかで、「国がライセンスをおろしてくれるかが一番の懸念点だった。それをすべてクリアした」と話す。

今後は、プラットフォームに蓄積したリアルワールドデータ(RWD)を利活用することで、「認知症になる前のハイリスクの人に対して、健康アドバイスや情報提供する」ことの実現に意欲をみせる。アデュカヌマブ(米国製品名:Aduhelm)や抗アミロイドβプロトフィブリル抗体・レカネマブなど、MCIや早期認知症を対象とした薬剤の中国での上市も見込まれるなかで、製品価値の最大化も図りたい考えだ。ただ、「利活用されたデータはすべて、中国国民に還元するビジネスモデル」であることも強調する。

「まずは、オンライン診療のアクティブユーザーを可能な限り早く、月に10万人、年間100万人超を達成したい」と岡田COOは意欲をみせる。京東ヘルスは中国国内で3億3000万人のアクティブユーザーを誇る巨大プラットフォーマーだけに、「極めて現実的に達成可能だ」と話す。仲介フィーやコミュニティからの収入だけで、「年間100億円レベル」を目指す。

◎「hhcの最先端は中国で走る」

「中国は魅力的な市場だ。しっかり努力すれば、hhcの最先端は中国で走ると確信している」。岡田COOはこう自信をみせる。同社は、中国で25年間以上、製造を含めてフルファンクションでビジネスを継続しており、培われた経験に裏打ちされている。

中国当局が“イノベーションフレンドリー”であることがビジネスにとって追い風との見方も示す。中国はICHに加盟した2017年6月以降、薬事規制の改正や緩和を通じて、イノベーション重視に舵を切った。治療上重要な新薬は、国家償還リストに掲載される。同社でも抗がん剤レンビマや抗てんかん剤フィコンパは、償還されている。一方で、特許切れ後は、“政府集中購買”と呼ばれる制度で、政府が入札する。同社のメチコバールは特許切れ後、薬価85%以上のダウンで落札し、いまも中国市場へ供給を続ける。価格政策に厳しさははらむが、イノベーション重視の政策といえる。

社会保障の持続可能性を視野に入れた中国の制度は、「予見性がある」と岡田COOはみる。さらに、革新的新薬創出に向けた研究開発もさかんだ。いまや、日本からは研究所が撤退したトップ10のグローバル企業も、中国には研究拠点を置く。

◎中国武漢では無人の配送用ロボットが医薬品を宅配 「率直に驚いた」

特に、デジタルに集中的な投資を行う中国では、その進歩は速く、大きい。コロナ禍の3月、ロックダウンの中国武漢では無人の配送用ロボットが医薬品を宅配していた。この姿を目にした岡田COOは、率直に驚いたという。「本当はこのビジネスモデルは日本で実現したかった」。岡田COOはこう話す。「個人情報を保護しながら、ビッグデータを利活用し、利用者にフィードバックするビジネスモデルだが、頑強なデジタル基盤、データ基盤がないと運用は難しい」と岡田COO。日本では電子カルテの統一も進まず、データの利活用も環境整備に向けた議論が端緒についたばかりだ。

岡田COOは、10月4日に発足した岸田政権が“新資本主義”を掲げていることに触れ、国が産業界とともに発展していく姿に期待感を示した。
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