自民党勉強会 第三者認証と民間保険活用でデジタルヘルス市場育成を支援 提言大筋了承
公開日時 2022/05/09 04:50
自民党のデジタルヘルス新成長戦略勉強会(木原誠二会長)は4月28日、デジタルヘルス市場の健全な成長に向けた提言を大筋で取りまとめた。提言では、デジタルヘルス領域をヘルスケア分野において医薬品、医療機器に次ぐ第3の柱に据え、2030年に1兆円の市場規模を目指す方針を明記。“デジタルヘルス立国”となるために、必要な改革事項を盛り込んだ。第三者認証により、品質を見える化。認証を受けた製品の利用に対するインセンティブ付与や民間保険との連携推進などを通じ、健全な市場の成長を促したい考え。提言は5月中にも、岸田首相に手渡す考えで、骨太方針への反映を目指す。
アプリやAI、ロボット、プログラム医療機器(SaMD)、オンライン診療などの医療情報など、デジタルヘルス領域は急速な広がりをみせている。現在の市場規模は約2500億円だが、年成長率は15%と急成長を続け、製品も増えている。一方で、国民にとって品質がわかりづらく、精度にバラツキがあることなども指摘されている。提言では、デジタルヘルス製品の品質に応じて、民間団体や学会など第三者機関が認証する制度を整備し、質の見える化を図る必要性を指摘した。特定保健用食品などのような、認証マークを想定する。
認証を受けた製品については利用に対するインセンティブを付与。さらにアプリや医療機器と連携する健康増進型保険、先進医療強化型保険などの増加を踏まえ、認証を受けた製品と民間保険との連携を推進し、良質な保険商品の開発につながることにも期待をよせる。
勉強会後、国光文乃事務局長は、「使いたい人がアクセスしやすくする。公的皆保険制度が持続可能なのは厳しい状況だが、民間保険の力も借りて、患者さんにとってよりアクセスしやすい状況に、公的保険、民間保険でともに作っていく」と述べた。
◎条件付き早期承認の対象要件緩和や保険外併用療養費制度の拡充で迅速な市場導入も
このほか、国際展開を見据え、現地ニーズや利用者のセグメント(富裕層、中間層など)に合わせた製品・サービス開発につながるよう、JETROやMedical Excellence Japan(MEJ)などの体制強化を盛り込んだ。
また、良質な製品を迅速に市場に導入する「薬事・保険制度改革」の必要性を指摘。ドイツの仮保険価格制度(DiGA)を参考に、条件付き承認制度などの対象要件を緩和し、暫定的に保険適用する仕組みの導入などを提案した。また、保険外併用療養費制度(選定療養など)を拡充することも盛り込んだ。
提言「新・成長戦略~アフターコロナを見据えた、安心と成長のエンジン「デジタルヘルス立国」では、①第三者認証、②国際展開、③早期承認、④医療DX化、⑤データ利活用-を改革の柱に据えている。