帝人・内川社長 後発参入でフェブリク通期売上予測200億円減 「想定以上のスピード」収益構造立て直し
公開日時 2022/11/08 04:50
帝人は11月7日、高尿酸血症・痛風治療剤フェブリクの23年3月期通期売上予想が後発品参入に伴う販売量減少で昨年対比200億円減になると見通した。内川哲茂代表取締役社長は2023年3月期第2四半期決算説明会に臨み、「後発品への置き換えが想定以上のスピードで浸透した」と説明。今後の収益改善に向け、整形領域での新薬上市・販売による収益化や、DPP4阻害剤領域でのシェアアップ、独自の事業基盤を活用したヘルスケアサービスの拡大などに取り組む方針を示した。なお、同社は通期の営業利益予想を前回発表の500億円から250億円に下方修正すると発表した。
◎フェブリク販売量減少 前年同期・売上9.4%減 営業利益39.4%減
ヘルスケアセグメントの23年3月期第2四半期業績は、6月に後発品が市場参入したフェブリクの販売量が減少し、売上高は前年同期比9.4%減の787億円、営業利益は39.4%減の147億円となった。フェブリクの国内売上高は上期104億円で、前年同期に比べて89億円減となる。
◎ヘルスケアカテゴリー 「早急に収益構造の立て直しが必要な状況にある」
内川社長は通期業績予想について、「フェブリクの後発品置き換えが想定を上回るスピードで進んでおり、大きく営業減益となる見通し」と明かした。「ヘルスケアは糖尿病治療剤の導入を行い、収益の底上げと事業基盤の強化を実現したものの、新薬立ち上げの遅れ等があり、想定から乖離した」と強調。これらは中期経営計画「2020~2022」における「Profitable Growth」(利益ある成長分野)に位置づけたもので、「早急に収益構造の立て直しが必要な状況にある」と指摘した。また、「Strategic Focus」(将来の収益源育成分野)に掲げた地域密着型総合ヘルスケアサービス事業についても、「積極投資を行い、一定の成果を上げた」としたが、「利益への貢献が伴わず、当初想定から大きく乖離した」との見方も加えた。
その上で内山社長は、「ヘルスケアは強みのある整形領域での新薬上市を控えており、収益化の前倒しを含めて考えている」と指摘。さらに、「DPP4阻害剤のシェア確保で業績を支えるほか、独自に持ち合わせているヘルスケアの事業基盤を活用したサービスを積極的に拡大したい」と意欲を示した。特にヘルスケア事業基盤を活用したサービスでは、退院支援と在宅医療をシームレスにつなぐ事業の拡大を一例にあげ、在宅で使用する医薬品や医療機器の医師や看護師向けのトレーニングなどにこれまで培った事業基盤を活かす考えを示した。同社は23年2月にも中期経営計画のレビューと次期中期経営計画を公表する考えだ。
内山社長は、次期中期経営計画の期間はStrategic Focus分野の軌道修正も含め、戦略の大幅な見直しが避けられない状況にあるとし、23年2月の中計発表時には、「目の前の収益悪化を食い止めることを最優先課題と捉え、抜本的対策を含む今後の計画を説明する」と述べた。