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【グローバル企業2022年決算トピックス その3】サノフィ GSK イーライリリー ギリアド・サイエンシズ

公開日時 2023/03/13 04:51
外資製薬企業の22年医療用医薬品売上高上位16社の決算概況を紹介する第3回目は、9位~12位のサノフィ、グラクソ・スミスクライン(GSK)、イーライリリー、ギリアド・サイエンシズを取り上げる。(全4回連載、1回目 2回目))

【9位 サノフィ】デュピクセントは売上87億ドル、58%増 医療用薬売上の22%占める

サノフィの総売上高は13.9%増(為替の影響を除くと7.0%増)の429.97億ユーロ(451.47億ドル)となり、このうち医療用医薬品(ワクチン含む)の売上高は13.9%増の379.17億ユーロ(398.13億ドル)で9位だった。また、純利益は8.0%増の67.20億ユーロ(70.56億ドル)となり、9位となった。

最主力品のアトピー性皮膚炎や気管支喘息などの治療薬デュピクセントは58.0%増の82.93億ユーロ(87.08億ドル)となり、医療用医薬品(ワクチン含む)売上高の22%を占めた。地域別に見ると、米国で63.46億ユーロ(66.63億ドル)で為替の影響を除く比較で41.6%増、欧州で9.40億ユーロ(9.87億ドル)で同44.4%増、欧米以外で10.07億ユーロ(10.57億ドル)で同56.6%増となっている。

ワクチン全体の売上高は14.3%増の72.29億ユーロ(75.90億ドル)で、このうちインフルエンザワクチンは13.3%増の29.77億ユーロ(31.26億ドル)だった。なお、為替レートは22年の年間平均で1ユーロ=1.05ドルだった。

【10位 GSK】 純利益は約3倍増 コンシューマー事業分離の利益計上で

グラクソ・スミスクライン(GSK)の総売上高(医療用医薬品売上高)は19%増(為替の影響を除くと13%増)の293.24億ポンド(363.62億ドル)となり、全体で10位だった。22年7月18日にコンシューマー・ヘルスケア事業を分離し、独立した上場企業である「Haleon」を設立。この分離に伴う利益を計上したことで、純利益は約3倍増の156.21億ポンド(193.70億ドル)となり、2位となった。
抗HIV薬のドルテグラビル製品 売上64億ドル、14%増
抗HIV薬のドルテグラビル製品(テビケイ、トリーメク、ジャルカ、ドウベイト)は14%増の51.91億ポンド(64.37億ドル)となった。新型コロナ治療薬ゼビュディは23.09億ポンド(28.63億ドル)寄与した。帯状疱疹予防ワクチンのシングリックスは72%増の29.58億ポンド(36.68億ドル)を売り上げた。気管支喘息や慢性閉塞性肺疾患(COPD)の治療薬テリルジーも42%増の17.29億ポンド(21.44億ドル)と好調だった。なお、為替レートは22年の年間平均で1ポンド=1.24ドルだった。

23年の総売上高は6~8%の増加(新型コロナ関連製品を除く)を見込んでいる。

【11位 イーライリリー】 総売上の26%はトルリシティ、売上74億ドルに 新型コロナ関連薬は大幅減収

イーライリリーの総売上高(医療用医薬品売上高)は1%増(為替の影響を除くと4%増)の285.41億ドルとなり、全体で11位だった。純利益は12%増の62.45億ドルで13位だった。

最主力品の週1回投与のGLP-1受容体作動薬トルリシティは15%増の74.40億ドルとなり、総売上高の26%を占めた。また、慢性心不全の効能を追加したSGLT2阻害剤ジャディアンスも39%増を記録。22年に欧米で発売、日本でも承認を取得した持続性GIP/GLP-1受容体作動薬マンジャロは4.83億ドル寄与した。がん領域では、乳がん治療薬ベージニオが84%増の24.84億ドルと好調だった。一方、新型コロナのパンデミックの影響が弱まり、新型コロナによる肺炎の効能を持つオルミエントは26%減、中和抗体薬は10%減となった。

23年の総売上高は303億ドル~308億ドルを見込んでいる。

【12位 ギリアド・サイエンシズ】 総売上横ばい 抗HIV薬群は好調もベクルリーは30%減収

総売上高(医療用医薬品売上高)は横ばい(0.1%減)の272.81億ドルとなり、全体で12位だった。純利益は26%減の45.92億ドルで14位だった。

抗HIV薬群は5%増の171.94億ドルと総売上高の63%を占めている。中でもビクタルビが20%増の103.90億ドルを記録した。新型コロナ治療薬ベクルリーは30%減となったが、39.05億ドル寄与した。CAR-T細胞療法(大細胞型B細胞リンパ腫)イエスカルタは67%増の11.60億ドル、乳がん治療薬(Trop-2を標的とした抗体薬物複合体)「Trodelvy(サシツズマブ ゴビテカン)」は79%増の6.80億ドルとなった。

23年の製品売上高は260億ドル~265億ドルを見込む。ベクルリーを除く製品売上高は240億ドル~245億ドルを見込んでいる。

外資製薬企業の22年製品売上高ランキング
順位 製品名 企業名 売上高
(百万ドル)
増減(%)
1 コミナティ(アライアンス売上含む) ファイザー 37,806 3
2 ヒュミラ アッヴィ 21,237 3
3 キイトルーダ メルク 20,937 22
4 パキロビッド ファイザー 18,933 -
5 スパイクバックス モデルナ 18,435 4
6 エリキュース ブリストル マイヤーズ スクイブ 11,789 10
7 ビクタルビ ギリアド・サイエンシズ 10,390 20
8 レブラミド ブリストル マイヤーズ スクイブ 9,978 -22
9 ステラーラ ジョンソン&ジョンソン 9,723 7
10 デュピクセント サノフィ 8,708 58
11 オゼンピック ノボ ノルディスク 8,365 77
12 オプジーボ ブリストル マイヤーズ スクイブ 8,249 10
13 ダラザレックス ジョンソン&ジョンソン 7,977 32
14 トルリシティ イーライリリー 7,440 15
15 ガーダシル/ガーダシル9 メルク 6,897 22
16 エリキュース(アライアンス売上含む) ファイザー 6,480 9
17 オクレバス ロシュ 6,338 19
18 プレベナーファミリー ファイザー 6,337 20
19 アイリーア(米国) リジェネロン 6,265 8
20 ラゲブリオ メルク 5,684 -
21 タグリッソ アストラゼネカ 5,444 9
22 スキリージ アッヴィ 5,165 76
23 イブランス ファイザー 5,120 -6
24 コセンティクス ノバルティス 4,788 1
25 イグザレルト バイエル 4,742 -5
26 エンレスト ノバルティス 4,644 31
27 イムブルビカ アッヴィ 4,568 -16
28 ジャヌビア/ジャヌメット メルク 4,513 -15
29 フォシーガ アストラゼネカ 4,381 46
30 パージェタ ロシュ 4,291 3
31 ゼプリオン ジョンソン&ジョンソン 4,140 3
32 エンブレル アムジェン 4,117 -8
33 ヘムライブラ ロシュ 4,014 27
・年間売上40億ドル以上の製品。医療用医薬品売上高上位16社+リジェネロンから集計。
・1ユーロ=1.05ドル、1ポンド=1.24ドル、1CHF=1.05ドル、1DKK=0.14ドルで計算。


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