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【資料 主な疑義報告事例 22年度医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業報告書より】

公開日時 2023/08/23 04:51
本誌は「2022年度医療用医薬品の販売情報提供活動監視事業」の報告書概要から、「主疑義報告事案」を紹介する。

・誇大な表現を用いてデータを説明した事例


◎患者向け資材で、誇大な表現を用いて効果を示した事例 
◆医薬品の種類:解熱鎮痛消炎剤
◆問題のあった情報提供活動・資材

患者向け資材に、経口薬や局所作用型貼付剤と比較して、全身作用型貼付剤である本剤は、効果が強く 広範囲に及ぶかのような印象を与える図が掲載されていた。具体的には、本剤では他剤と比較して濃い色 を用いて効果を図示したこと、効果の及ぶ範囲として本剤は全身末端まで濃い色を用いた一方で、経口薬 は「全身に働く」としながら色は薄く範囲も狭い図となっていること、本剤では「全身」の文字が他の文字より も大きく強調されているが経口薬では「全身」の文字は強調されていないこと、などが見受けられた。

・エビデンスのない説明を行った事例


◎エビデンスのない投与方法を説明した事例
◆医薬品の種類:無機質製剤
◆問題のあった情報提供活動・資材:企業担当者による説明(オンライン)

本剤の電子添文には「希釈する場合は、1バイアルあたり100mLの生理食塩液で用時希釈し、生理食塩液以外の輸液は使用しないこと」と記載されている。病院薬剤部で行ったオンラインでの説明会の場で、企業担当者から自発的に「他施設では生食50mLに溶解して投与しているらしいが特に問題はないと聞いている。また、他の施設では5%ブドウ糖液で溶解して投与したが問題はなかったと聞いている」という説明があった。医療従事者からの質問があったわけではない中、企業担当者がエビデンスのない投与方法を積極的に説明した。

・未承認の効能効果や用法用量を示した事例


◎未承認の効能効果を強調した事例
◆医薬品の種類:モノクローナル抗体製剤
◆問題のあった情報提供活動・資材:企業担当者による説明
院内での医薬品の宣伝許可を得るため、企業担当者が薬剤部に事前に情報提供内容の説明を行った。本剤の適応は***に伴うそう痒(既存治療で効果不十分な場合に限る)に限られるが、企業担当者からは「かゆみの後に生じる皮疹にも効果が認められている」と説明があった。そこで、医療従事者が当該企業の学術担当者にエビデンスの確認を行ったところ、国内第Ⅲ相試験の副次評価項目でEASIスコアの改善が有意差をもって示されたということであった。
副次評価項目に関する情報提供は問題ないものの、その結果をもって未承認の効能効果を説明することは適応外使用の推進にあたり不適切である。

・有効性のみを強調した事例


◎安全性に関する情報提供がなかった事例
◆医薬品の種類:糖尿病治療薬
◆問題のあった情報提供活動・資材:企業担当者による説明(オンライン)
企業担当者が病院薬剤部向けに本剤に関するオンライン説明会を実施した。その際、企業担当者からは、動物試験の結果として、「本剤では濃度依存的な乳酸上昇を示さなかった」という企業本社作成のスライドが映写された。このスライドでは、他剤群の併記はされておらず、本剤群のみのグラフであったが、企業担当者からは「スライドには示しておりませんが、同時に実施されている他剤群では、濃度依存的な乳酸値の増加が確認されており、このことからも本剤は乳酸アシドーシスのリスクが少ないことが期待されます」という説明がされた。
本剤は乳酸アシドーシスを起こしにくい薬剤として開発されたと一般に言われており、この点をアピールしたいのだと思われるが、総合製品情報概要やインタビューフォームにおける「本剤の特徴」にも挙げられておらず、RMPの「重要な潜在的リスク」として「乳酸アシドーシス」が示されている。リスクが少ないことのみを強調した情報提供を行った。

・他社の製品を誹謗・中傷する表現を用いた事例


◎他社製品と直接比較したデータがない中、他社製品よりも優れていることを示唆した事例
◆医薬品の種類:その他の腫瘍用薬
◆問題のあった情報提供活動・資材:企業担当者による説明(オンライン)
オンライン面談時に、企業担当者は2022年の学会で発表された内容の記録集を画面に表示しながら自社製品のデータについて説明を行った。承認時は3年後までのデータであったが、その後5年後までのフォローアップができたということで、その結果が示された。企業担当者は他社製品名を出したものの、他社製品のデータやグラフ等を提示することなく「***(他社製品)の臨床試験結果ではここまで(自社製品の数値)のデータは出ていませんでしたが、この点について、先生、どのようにお考えでしょうか」と問いかけてきた。
他社製品と直接比較したデータを示さずに、他社製品名を出して「ここまでのデータは出ていない」「どう思うか」と医療従事者から他社製品の誹謗中傷意見を引き出そうと誘導するような説明であった。

・その他の事例


◎適切な資料やデータを用いないで説明を行った事例
◆医薬品の種類:骨粗鬆症治療剤
◆問題のあった情報提供活動・資材
企業担当者による説明 院内での医薬品の宣伝許可を得るため、企業担当者が薬剤部に対して事前に情報提供内容の説明を行った。その際、企業担当者は概念図を示し、「本剤は**よりもアナボリックウインドウが良く、骨吸収を過度に起 こさないので優れている」と説明した。レビュー論文を確認すると、3つの薬剤の概念図が掲載されており、これらの薬剤が骨代謝効果を発揮する 期間の概念的な考え方を示したものであることが確認できた。しかし、これはあくまでも考え方を示した概念図 であり、実際の臨床効果を示したものではなかった。

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