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アステラス製薬・岡村社長CEO 9月発売のIZERVAY ピーク時売上2000~4000億円 利益貢献は26年度

公開日時 2023/11/02 04:51
アステラス製薬の岡村直樹代表取締役社長CEOは11月1日の23年度第2四半期決算説明会で、5月に買収した米アイベリック・バイオ社の開発品で、9月に米国で発売したIZERVAY(アバシンカプタドペゴル:ACP)について、「期待に沿った立ち上がり」と報告した。同剤は地図状萎縮(GA)を伴う加齢黄斑変性の治療薬で、8月にFDAから承認を取得した。岡村社長は売上見通しについて、2025年度に売上と費用等がブレークイーブンとなり、26年度以降に利益貢献すると強調。ピーク時売上は2000~4000億円と見込んだ。岡村社長は、「発売して間もないことに加え、競合品の影響など不確実な要素が多い。一定程度のリスクも勘案して(ピーク時売上は)幅を持たせて開示させていただいた」と述べた。

◎IZERVAY「イクスタンジの独占販売期間満了による売上減少を補う重要な製品」

「イクスタンジの独占販売期間満了による売上減少を補う重要な製品として、今後の売上拡大に期待している」-。岡村社長はIZERVAYの位置づけをこう表現した。同剤は、補体因子であるC5の阻害作用を有するPEG化一本鎖RNAアプタマーで、GAを伴う加齢黄斑変性などを対象疾患として開発を進めた。FDAからブレークスルーセラピーに指定され、今年2月にFDAへの承認申請が受理され、優先審査指定を受け、8月に承認、9月に発売した。

この日の説明会では、IZERVAYの9月発売以降、1万バイアルを出荷し、500の専門医療機関で採用されたことが報告された。患者はメディケア・パートBを想定。発売から1か月ということで第2四半期売上高は12億円、通期予想は110億円を見込むが、同社がイクスタンジ後の重点戦略製品に掲げるパドセフ、ゾルベツキシマブなどと並んで大型化を目指す製品の1つだ。同剤は、投与後12か月時点でのGAの進行速度を統計学的に有意に抑制することが分かっているが、近々に24か月時点の臨床試験結果(GATHER2試験)が発表される予定で、今期中にFDAに対して適応拡大の申請が行われる見通し。競合品に対する優位性も期待されている。

岡村社長は、ピーク時売上が2000億円から4000億円と幅を持たせたことについて、「競合品の進展、さらに競合側のデータ開示などが絡んでくる。それがどう触れるかはパラメータも多く、買収後まだ数か月の期間では分からない」と指摘。ただ、十分に見極めた上で、「ピーク時売上のガイダンスを適切なタイミングで分かりやすい形でお知らせしたい」と述べた。

◎VEOZAH(fezolinetant) 民間保険のカバレッジ約20% 10月からテレビCMでDTC活動本格化

IZERVAYと同様にイクスタンジ後の重点戦略製品に位置づけられ、5月にFDAから承認されたVEOZAH(fezolinetant)についても触れた。同剤は、閉経に伴う中等度から重度の血管運動神経症状(顔のほてり・のぼせ等:VMS)の治療薬として開発された。岡村社長は、「(米国での)民間保険カバレッジは約20%でPayer(支払者)との協議は想定通りに進行している」と説明。「新薬がカバレッジの対象となるには一般的に6か月程度かかる。年度を通じてカバレッジの拡大を見込む」と述べ、引き続きマーケットアクセスに注力する姿勢を示した。

一方で、7万人の米国医師に対面で面会するなど、VEOZAHの認知度は7月時点の約40%から9月時点で約50%に上昇していると説明。10月からテレビCMを含むDTC活動を本格化させ、その効果は12月以降を見込んだ。岡村社長は、「DTC開始前の需要が想定を下回り、2Q実績(13億円)は期初予想を下回る推移だった」と述べながらも、今後のDTC活動を踏まえて「期初予想は3Qに見直す」と強調。「ピーク売上の見通しには引き続き自信を持つ」と強気の構えを示しながら、将来の重点戦略製品への成長に強い期待感を表明した。

◎23年度第2四半期業績から米アイベリック・バイオ社の買収の影響を反映

同社は2023年度第2四半期決算から、米アイベリック・バイオ社の買収の影響を反映した業績を開示した。売上収益は7671億円(対前年同期比0.6%増)、コア営業利益は1098億円(同24.5減)。その他経費に米アイベリック・バイオ社買収に伴う株式報酬関連費用367億円、為替の変動によるゾルベツキシマブの条件付対価の公正価格増加88億円を計上している。

米アイベリック・バイオ社買収の影響を加味した通期業績予想は、売上収益1兆6080億円(期初予想1兆5200億円)、コア営業利益1990億円(同2900億円)、営業利益1230億円(同2590億円)。売上収益は、イクスタンジ、パドセブ、ゾスパタの各製品売上を上方修正した。営業利益については、米アイベリック・バイオ社買収の影響により下方修正した。

【23年度第2四半期連結業績 (前年同期比) 通期予想(前年同期比)】 
売上高 7671億3800万円(0.6%増) 1兆6080億円(5.9%増)
営業利益 510億1600万円(57.4%減) 1230億円(7.5%減)
親会社帰属純利益 316億7000万円(67.2%減) 850億円(13.9%減)
※米アイベリック・バイオ社の買収影響を含む

【23年度第2四半期のグローバル主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
イクスタンジ 3609(3320)7198
パドセブ 327(208)852
ゾスパタ 263(235)552
VEOZAH  13(-)533
IZARVAY 12(-)110
エベレンゾ 20(15)51
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 958(934)1944
プログラフ 1000(1004)1965
ベシケア 74(81)139

【23年度第2四半期の国内主要製品売上(前年同期実績) 通期予想、億円】
グローバル品
イクスタンジ 288(275)582
パドセブ 44(40)99
ゾスパタ 23(21)46
エベレンゾ 11(13)22
ベタニス 141(175)290
プログラフ(グラセプター含む) 153(185)298
ハルナール 7(9)14

国内主要製品
スーグラファミリー 144(156)291
うち、スージャヌ 56(63)非開示
レパーサ 33(32)非開示
リンゼス 32(35)非開示
ビーリンサイト 50(38)非開示
イベニティ 235(201)非開示
スマイラフ 12(13)27
ワクチン 32(32)51
シムジア 52(58)非開示
*前年度の国内売上は仕切価ベース
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