米リジェネロン 日本で事業開始 コマーシャル部門総責任者のマッコート氏が本誌に「日本は重要市場」
公開日時 2024/01/22 04:52
米バイオ医薬品企業のリジェネロン社が、日本市場で本格的に事業を開始する。同社のコマーシャル部門総責任者のマリオン・マッコート氏は本誌インタビューに応じ、「我々のサイエンスやイノベーションを日本市場で追及することに強い関心がある。日本は重要なマーケットだ」と強調した。同社は22年にリジェネロン・ジャパンを設立、その後人材採用を進め、23年10月に同社の独自技術で創製したデュピクセントについて、すでに日本で製造販売するサノフィとのコ・プロモーションを開始すると発表していた。マッコート氏は、サノフィとの協働関係を今後も継続しながら、将来的には単体での製造販売承認の取得も視野に入れ、ビジネス規模に応じた体制強化やMRを含む人材採用を進める方針を明らかにした。
◎我々のサイエンスやイノベーションを日本市場で追及したい
「我々の日本でのビジネスは若いかもしれないが、我々のサイエンスやイノベーションを日本市場で追及していくことに強い関心を持っている。日本は極めて重要なマーケットとの位置づけだ」-。続けて、「その意味で我々がダイレクトに医薬品を届けるというプレゼンスを今後上げていきたいと思う」とマッコート氏は語り、日本市場に強い期待感を表明した。
リジェネロン社は米国で1988年に医師で研究者でもあるレン・シュライファー氏とジョージ・ヤンコポーロス氏という2人の創業者が設立したバイオ医薬品企業。注力領域は、眼疾患、アレルギー・炎症性疾患、がん、循環器、代謝性疾患、血液疾患、感染症、希少疾患など。日本を含めて米国、カナダ、英国、EUなどに1万3000人以上の従業員がいる。22年は35.9億ドルを研究開発に投資した。
◎リジェネロン・ジャパン 現在の従業員数は100人強
日本においては22年にリジェネロン・ジャパンを設立。現在の従業員数は100人強。マッコート氏によると、「業界知識も豊富で、経験もあり、日本のマーケットもよくご存知で、有能な方がたくさん入社して頂いた」と述べ、「チームリーダーの方とお会いしたが、すごく有能な方々で、この方たちがいれば我々のビジネスは次の段階に進めるのではないかなと確信した。我々は日本と日本の患者さんに対して高いコミットメントをもっている。さらなる成長が期待できると実感している」と語ってくれた。
◎日本事業の第一弾はデュピクセントのサノフィとのコ・プロモーション
日本事業の第一弾は、デュピクセントのサノフィとのコ・プロモーションとなった。同剤はリジェネロンとサノフィのグローバル提携契約に基づいて、両社が共同開発したもの。マッコート氏は、「(同剤は)サノフィの力添えで日本市場に参入したものであり、これからもサノフィとの関係を続けながらコ・プロプロモーションをさせていただく」と強調。「デュピクセントで更なる拡大の余地はある。その理由はデュピクセントで治療を受けている患者さん、対象となる患者さんの潜在的なアンメットニーズは大きく存在しているからだ」と述べ、コ・プロを通じ、リジェネロン独自のVelocImmune技術を用いて創製した強みを生かした活動に注力する考えを強調した。
◎適応拡大や他の革新的新薬の製造承認取得にも期待感
一方で、同剤の適応拡大や他の革新的新薬の製造承認取得にも期待を寄せた。マッコート氏は、「リジェネロン単体で革新的新薬を開発し、単体で販売しているプロダクトも現にある。そういったものを日本の患者さんに価値として提供したいという気持ちはある」と表明。一方で、「タイミングとしては時期尚早」と断りながらも、「日本には更なる革新的新薬の上市を考えていきたい。我々が(単体で)製造販売承認を持つことに関心がある。その辺のところはお話しできる時が来たらお話ししたい」と含みを持たせた。
◎「将来的に陣容を拡大する余地がある」
今後の日本事業の体制については、「日本のマーケットが重要であると強調させていただきたい。リジェネロン・ジャパンとしては、将来的に陣容を拡大する余地がある」と述べた。また、「日本の治験施設のプレゼンスは高い。というのも日本の研究機関や大学、アカデミアはイノベーションに対する意識の高さが際立っている。その点でいえば、そういう方々と接する分野において優秀な人材を有することが重要だと思っている」と指摘し、「我々は、これから出てくる革新的新薬によりビジネス上のカバレッジを拡大する。その意味で日本は人材面でも重要なマーケットであるということに変わりない」と期待を込めた。