独BIとそーせいGが新規契約 統合失調症の全症状対象のGPR52受容体作動薬ポートフォリオの共同開発で
公開日時 2024/03/12 04:51
独ベーリンガーインゲルハイム(BI)とそーせいグループは3月11日、そーせいグループが創出した GPR52 受容体作動薬ポートフォリオについて、統合失調症の全症状を対象とした共同開発・商業化に係る新規グローバル提携契約を締結したと発表した。GPR52受容体は新規Gタンパク質共役受容体(GPCR)の一つで、GPR52受容体作動薬は統合失調症の陽性症状、陰性症状、認知機能障害を同時に改善し、患者の予後を向上できることが期待されるという。そーせいグループは、今回の提携ポートフォリオの一つであるGPR52受容体作動薬・HTL0048149(開発コード)はファーストインクラスの治療薬候補だとしている。
本契約により、そーせいグループはBIから、契約一時金として2500万ユーロ(約40億4900万円、1ユーロ=161.94円)、オプション行使料として6000万ユーロ(約97億1600万円)を受領する権利のほか、開発、申請・承認、販売の目標達成に応じ最大6億7000万ユーロ(約1085億円)のマイルストンを受領する権利、段階的ロイヤリティを受領する権利を得た。
GPR52受容体作動薬・HTL0048149で現在実施中の第1相臨床試験と第1b相臨床試験などの必要なデータが揃った後、本契約に基づきBIはそーせいグループのGPR52作動薬ポートフォリオのライセンスに関する独占的オプション権を保有することになる。2025年中に予定されている本オプション権行使まで、そーせいグループはこれらの臨床試験を引き続き主導し管理していく。
ライセンスの対象となるポートフォリオには、HTL0048149に加え、そーせいグループの独自技術(StaR技術)および構造ベース創薬プラットフォームを用いて設計された複数の異なるバックアップ化合物が含まれる。
GPR52を標的とする新たな統合失調症治療薬は、統合失調症の3つの症状すべてを対象とする画期的な精密精神医学による治療(Precision treatment)となる可能性がある。このメカニズムは、GPR52受容体が脳内の陽性症状を引き起こす領域(線条体)と、陰性症状および認知機能障害を引き起こす領域(前頭前皮質)に存在することに基づくという。GPR52受容体作動薬は、線条体の機能を抑えるのと同時に、前頭前皮質の機能を高めることで、さらなる治療精度の向上が見込めるとしている。