Jストリーム 講演会参加後のフォロー「51%の医師が求める」 講演資料や要約、詳細な追加情報がカギ
公開日時 2025/04/16 04:53
医療系Web講演会を手掛けるJストリームは、「製薬会社主催の講演会に対する医師の評価」に関する調査レポートを公表した。医師の働き方改革施行後の講演会への参加状況は、リアル講演会への参加が難しくなったことで、場所を選ばす時間を有効活用できるWeb講演会が需要は高い。Web講演会を視聴した医師の処方影響度をみると、「処方に影響を与えた」が39.7%、「どちらでもない」は53.0%で、影響しないと回答した医師は1割以下だった。講演会参加後の製薬企業によるフォローアップについては、51.1%の医師が求めており、医師側のニーズは、「スライド資料や講演内容を要約した資料の共有」が58.9%、「製品や研究に関する詳細な追加情報」は46.4%となっていた。このほか製薬企業への期待では、「Web講演会のオンデマンド配信(録画配信)」が47.5%と最も高かった。
調査は、200床以上の病院勤務医を対象に、医師の働き方改革の施行前の10か月間(2023年6月~2024年3月)と施行後の10か月間(2024年4月~2025年1月)におけるリアル講演会とWeb講演会の増減状況などを調査したもの。有効回答は医師219人(30代21人、40代64人、50代78人、60代56人)。
◎働き方改革施行後 リアル講演会の参加回数は若干減少 Web講演会は増加の傾向
講演会への参加状況(回数)は、働き方改革前後を比較すると、リアル講演会が施行前の5.18回に対し、施行後は4.42回と若干減少。Web講演会は施行前の14.2回に対し、施行後は14.6回と増加した。製薬企業20社(社名非開示)でみると、リアル講演会は1社あたり平均2.0回(施行前2.2回)、Web講演会は平均2.8回(施行前2.6回)で、概ね年間1~3回で突出して多い企業はなかった。
処方に有用な情報源のトップは「Web講演会」で、若手医師(30~40代)の71.8%、中堅医師(50~60代)の66.4%が回答。第2位は「学会・研究会」で若手医師65.9%、中堅医師56.0%、第3位は「リアル講演会」で若手医師43.5%、中堅医師44.8%、第4位は「MR院内説明会」で若手医師32.9%、中堅医師41.8%となっていた。
◎Web講演会による処方影響度 若手・中堅医師の4割が「影響あり」と回答
Web講演会による処方への影響度については、全体では、「処方に影響を与えなかった」は7.3%で、逆に、「処方に影響を与えた」が39.7%(若手医師40.0%、中堅医師39.5%)、「どちらでもない」は53.0%(若手医師52.9%、中堅医師53.0%)だった。「処方に影響を与えなかった」と回答する医師は7.3%(若手医師7.1%、中堅医師7.5%)となった。
◎視聴する決め手 「講演タイトル」、「時間帯」ともに51.6%でトップ
Web講演会・イベント開催を視聴する決め手について回答を求めた。「講演タイトル」、「時間帯」がともに51.6%でトップ。次いで、「講演者」の49.3%だった。Web講演会・イベントのテーマで印象に残ったもののトップは「新薬の情報」の63.5%、次いで「最新のエビデンスの情報」が62.6%、「現在使っている処方薬の情報」が53.9%だった。一方で、これを年代別にみると、若手医師は「現在使っている処方薬の情報」が61.2%、中堅医師は「注目されているテーマ」が33.6%で、印象に残ったコンテンツに年代別の差を生じていることも分かった。
◎参加後のフォローアップ 1位は資料・要約 2位は追加情報、3位は個別質問
講演会参加後のフォローアップについて、製薬企業のMR等から何らかのフォローアップが欲しい医師は全体の51.1%だった。フォローアップの内容のトップは、「スライド資料や講演内容を要約した資料共有」が58.9%、2位は「講演で取り上げた製品や研究に関する詳細な追加情報」の46.4%、3位は「個別の質問対応」の36.6%だった。
◎フォローアップ時の「不満」 トップは「得たい情報が得られない」 「遅い」との印象も
フォローアップの満足度を聞いたところ、「満足している」が23.3%、「満足していない」が14.1%、「どちらでもない」が62.6%だった。不満足の理由について年代別に聞いたところ、若手医師は、「得たい情報が得られない」が48.2%でトップ。次いで「時間を取られすぎる」が31.8%だった。中堅医師もトップは「得たい情報が得られない」が34.3%となったが、2位は「タイミングが適切でない、遅いなど」の31.3%、3位が「時間を取られすぎる」の29.8%だった。
Web講演会後に望ましいコンテンツについては、、「そのままの内容でオンデマンド配信」が41.6%、「医師による要点説明」が39.3%だった。なお、年代別でみると中堅医師は「テキストの議事録」が40.3%となり、若手医師よりも高めに傾向を示すことも分かった。
◎製薬企業に期待すること 1位は「Web講演会のオンデマンド配信(録画配信)」
情報収集の効率化で製薬企業に期待することの1位は、「Web講演会のオンデマンド配信(録画配信)」が47.5%と最も高かった。年代別にみると、若手医師は「スマートフォン、iPad等のタブレット端末でのウエブサイト閲覧時の利便性向上」(27.1%)、「MR訪問面談とメールによる情報提供の使い分け」(21.2%)が比較的高かった。一方、中堅医師は、「製品説明会の定期開催」(26.9%)が比較的高かった。
【訂正】中見出しの下線部の表記に誤りがありました。訂正します。(16日・8時50分 修正済)