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GE薬協・川俣会長 会員各社に「設備投資前倒しと生産能力向上」要請 27年度の供給不足解消を

公開日時 2025/06/19 06:50
日本ジェネリック製薬協会(GE薬協)の川俣知⼰会長(⽇新製薬)は6月18日、会見に臨み、「各社が計画中の設備投資の前倒しと少量多品目構造の解消による生産能力の向上によって、2年程度(27年度まで)で供給能力を追いつかせる取組みを要請していく」と表明した。GE薬協産業構造あり方研究会の中間報告では、一定の条件の下での推計として、集中改革期間の終期に当たる29年度に解消する見通しを提示。「29年には解消するというのでは誰も納得していただけるものではない」として、「自分たちの設備投資計画がこれで十分であろうと考えていたのが、勘違いでした、ということが今回わかった」と述べ、各社の取組みを促した。

◎29年度に供給不足解消と試算 14社のアンケート結果も大手で含まれない企業が

中間報告では、後発品の供給状況と将来予測を示している。後発品市場の伸びを1.3%、GEシェア率を90%で頭打ちと仮定したところ、29年度の需要量は1092億(薬価収載単位)と試算した。一方、23年度の実績ベースでの供給量は928億で、164億の開きがある。そこで、GE薬協が会員14社を対象にアンケート調査を行ったところ、25年度からの5年間で140億の追加供給を目指すとの回答があり、24年度とあわせて、168億の生産量増が見込まれるとした。この結果、29年度に供給が需要を上回る結果となり、29年度には供給不安が解消するとの見通しを示した。

ただ、この試算には前提条件があるため、川俣会長は「各社の今後の新製品の発売動向によっては、市場の拡大率1.3%を超える年というのもあることも予想される。ジェネリック医薬品の数量シェアも90%にとどまらないかもしれない」と説明し、達成が困難になる可能性も口にした。試算はジェネリック企業190社ある中で14社のアンケートと一部にとどまっているが、川俣会長は、「ジェネリック製薬協会の中には規模の大小が相当数ある。今回の14社の中には、大規模な企業は全て入っている。この14社の調査大半の傾向は読めると思う」と推計に自信をみせた。ただ、アンケートに回答していない大手国内企業が存在していることも会見では明言しており、試算の正確性には限界がある。

◎中間取りまとめは「現状分析が第一歩。非常に意味があった」

中間取りまとめの内容は厚労省の「後発医薬品の安定供給等の実現に向けた 産業構造のあり方に関する検討会」に参画した構成員3人が外部有識者として参画。内容も、昨年5月に取りまとめた内容とオーバーラップした内容にとどまっている。川俣会長は、「私たちとしては現状分析がまず第一歩だった。この現状分析をすることによって、今後どういう取組みをしていくのか、自分たちの設備投資がこのぐらいで十分なはずだと思っていたのが、実はそうでなかったということを明らかにしたというのは、非常に意味があった」と意義を強調した。「各社が自社製品の需要予測、新発売品がどういう品目が、どのぐらいのシェアを取れるのか、維持できるのか、確認していただいた上で、現実的な事業計画を作成し、設備投資を前倒しするとことを提言したい」と述べた。

◎少量多品目構造解消できない理由に「薬価が下がったものの中止への批判や営業からの要請」

供給不足解消に向けて、少量多品目構造の改善も求められるところ。川俣会長は、「我々はこれまで生産量が振るわず、需要が少なくなってしまった製品についてもなかなか、生産販売の中止には踏み切れなかった。これは、ジェネリック医薬品は薬価が下がって生産性が低下したものを勝手に中止するという批判から、そうした品目でも供給し続けるのが美徳であるという風潮と、例えば年間100万円でも売上があるようなものをやめたくないという営業上の要請があったことなどの原因になったと思う」との見解を示した。

そのうえで、自民党の「ジェネリック医薬品の将来を考える会」の提言や、骨太方針2025に「少量多品目構造解消に向けた後発医薬品業界の再編を推進」と盛り込まれたことを引き合いに、「我々としても、こうした品目の製造、販売を中止することができるチャンスと捉えられる」と強調。「各社の少量多品目構造の解消によって得られる効果はマチマチだが、仮に品種切り替えの洗浄や、設備の調整にかけるかかるダウンタイムが60%あったものを50%に縮小することであれば、生産能力20%ほど向上するということが計算される。新規の設備投資ももちろん有効だが、それ以上の生産能力向上につながると想定される。各社の取り組みを推奨して早期の供給不安解消に取り組まれることを期待する」と述べた。

中間取りまとめでは、少量多品目構造の改善による生産効率化として、市場規模が小さい品目を対象とした品目統合(片寄せ)について安定供給責任者会議で対応することや、人材確保、企業統合の必要性にも触れた。川俣会長は、「今後、各社の取組みの前倒しや設備投資に対する環境の下支えとして、(改正薬機法に盛り込まれた)後発医薬品製造基盤整備基金の使い道についても最終とりまとめでは提言したい」と語った。

中間取りまとめはGE薬協の理事会で5月27日、承認された。1か月近くの時間を経ての公表となったことについて川俣会長は、医師会、薬剤師会、保険者、国会議員などの「ステークホルダーの皆様への事前説明に時間を要した」と説明。「特に医師会、薬剤師会については、今の分析では29年度だが、極力前倒しして供給不安を解消する取り組みをしてまいりますとご説明を申し上げたところ、比較的賛同をいただいた」と述べた。

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