バイオジェン・ジャパン 多発性硬化症治療薬・タイサブリの全例調査解除 適正使用の推進は引き続き注力
公開日時 2025/07/07 04:50
バイオジェン・ジャパンは7月4日、多発性硬化症(MS)治療薬・タイサブリ点滴静注300㎎(一般名:ナタリズマブ)について、厚生労働省の再審査結果に基づき、全例調査が解除されたと発表した。なお、全例調査とともに承認条件とされたリスク管理は「タイサブリの適正使用のため再審査終了後も継続する」としている。
タイサブリは2014年6月に「多発性硬化症の再発予防及び身体的障害の進行抑制」を効能・効果として承認された。その際に承認条件として全例調査と、リスク管理に向けた製造販売上の措置が求められていた。厚労省からの再審査結果通知では、全例調査やリスク管理を適切に実施したと判断され、全例調査が解除された。
全例調査は14年6月~22年8月、国内154 施設の症例(安全性解析対象症例 681 例、有効性解析対象症例 639 例)を対象に収集。再審査期間中に収集した副作用のうち、添付文書の「使用上の注意」から予測できる重篤な副作用は32例40件、予測できない重篤な副作用は128例154件、予測できない非重篤な副作用は423例425件だった。予測できない副作用については、MSの自然経過の可能性や、タイサブリとの関連性を示唆する症例が少ないことから、現時点で「使用上の注意」への追記などの新たな安全対策は不要と判断されたという。
リスク管理については、適正使用に関する理解促進を目的に、医師や患者向けの資材作成・配布、情報提供、流通管理、自社サイトにおける情報提供を通じて、「MSの診断・治療に精通し、タイサブリのリスクについても十分に管理できる医師・医療機関の下でのみ行われるよう、製造販売にあたって必要な措置を講じた」としている。