【MixOnline】パンくずリスト
【MixOnline】記事詳細

日医工・岩本社長 24年度コア営業利益は70億円「株主、金融機関の期待まで到達」 事業改革に手応え

公開日時 2025/09/05 05:30
日医工の岩本紳吾代表取締役社長は9月4日に開かれた記者懇談会で、2025年3月期(24年度)の業績について、「コア営業利益は再生計画、株主、金融機関の期待に沿えるところまで到達することができた」と胸を張った。再生に向けた事業改革も「比較的順調に推移している」と自信をみせた。そのうえで、「いかに品質の高いものを安定的に市場に供給していけるか、立ち向かって進んでいる」として、安定供給体制のさらなる確立に注力する姿勢を強調した。日医工、共和薬品、T’s(旧・武田テバファーマ/武田テバ薬品)の3社を傘下とする持ち株会社・アンドファーマについては、「3社の強みを生かしながら、弱みを3社でカバーすることを実現していく」と語った。

◎24年度決算は増収増益 「日医工の社員、皆が一丸となって出した成果」

同社の2025年3月期(24年度)の売上収益は前期比13億円増の1249億円。売上原価は前期比から4%改善し、1033億円となった。廃棄の削減、生産量の増加が寄与した。売上総利益は215億円、コア営業利益は483%増の70億円で、増収増益となった。岩本社長は、「日医工には2300人の社員がいる。皆が一丸となって出した成果。日医工の社員にありがとうという気持ちで決算を迎えさせていただいた」と述べた。

◎ステークホルダー別にMR配置で役割明確化 病院担当は製品・疾患情報提供に注力

同社は24年度、生産体制や品質保証体制の強化に加え、「営業力の強化と人材育成に注力して活動してきた」という。

営業力の強化をめぐり、岩本社長は、「営業部門にお願いしたのは、数字を上げることや売上を拡大するということではない。全社員に我々はジェネリックメーカーという意識から脱却してほしい。医薬品業界の営業組織、社員にマインドをチェンジしてほしいとお願いをした」と述べた。

そのうえで、MR体制を見直したことを明らかにした。これまでは一人のMRが卸や調剤薬局、病院、クリニックと異なるステークホルダーを担当してきたが、病院担当、卸・流通担当、調剤薬局担当、クリニック・中小病院担当と、ステークホルダー別にMRを配置した。役割を明確化することで、プロモーション活動の質を上げる狙いがある。なお、MR数は前年度より微増の約200人。

特に同社が約9000万本生産する注射剤(24年度実績)のプロモーションに注力する姿勢を示した。注射剤は大病院で使用されるケースも多く、製品や疾患情報の提供に力を入れ、プロモーションを強化する。

岩本社長は、「病院でのプロモーション活動の質を上げていかないといけない」、「プロモーションの本質は、製品の情報を伝えること。長期収載品メーカーがプロモーションのコールを下げる中で、医療機関に行って、サイエンティフィックなことも含めて薬の説明をするのは我々の仕事だ」との認識を示した。実際、「私も病院薬剤師の先生方から“出荷情報などばかりではなく、もう少し製品情報をもってきてください”というお声を直接お聞きしている。製品の特徴、また周辺の疾患について、しっかり勉強して、情報を提供する形に変えていきたい。今後もそういうことで、評価を受けられるというふうに信じている」と熱く語った。

「まだ1年目で十分な成果は得られていない」と断ったうえで、「病院から、日医工は抗生剤など重要な注射製剤をかなり持っていると、改めて評価を認識していただいた病院も多々ある」と手応えも語った。

◎94%以上の品目で通常出荷 出荷停止から再出荷は4品目

安定供給の状況については、866品目中、94%以上(815品目)の品目で通常出荷量以上に達しており、出荷量が増加した品目も82.9%(718品目)あった。一方で、出荷量が減少したの10品目(1.2%)で、グローバルで需要高まり原薬が不足しているケースや、患者数が減少するなどして販売計画を引下げた品目があったという。出荷停止は41品目。

出荷停止から再出荷できたのは4製品あったといい、「再出荷できたのは一定の成果。41製品は引き続き、再出荷に向けて対応を進めている。行政とご相談をしながら、市場、患者動向を見ながら検討していきたい」と話した。また、限定出荷の品目数も21製品で、22年度から「自社事情による限定出荷は劇的に減ってきている」と説明。「これを限りなくゼロに近づける努力をしていきたい」とも話した。

◎事業改革「まだ課題はあるが、順調に推移」 バイオシミラーに「非常に興味」

26年3月期(25年度)について目標値は示さなかったものの、「生産量も業績も成長路線を描いていきたい」と意欲をみせた。事業改革の進捗については「まだ課題があるが、比較的順調に推移している」と話した。「金融機関や株主からしっかり認めてもらえる数字、業績を作っていかなければいけない。そのためには顧客からの信頼される会社でなければならない」と表明。「我々日医工は、いかに品質の高いものを安定的に市場に供給していけるかということに立ち向かって進んでいる。安定供給の問題で、業界再編の話もあるが、我々は日医工がやるべき仕事をしていることでそういった声にも期待にもお答えできるのではないかと考えている」と述べた。

バイオシミラーにも「非常に興味を持っている」と明言した。「我々工場を持っている会社として日本でバイオシミラーを作れればと考えている」と述べ、具体的な行動はないものの、「準備は進めている」と明かした。ただ、国の補助金や市場動向などを踏まえて「慎重に検討する」と述べた。

◎アンドファーマ 「3社の強みを生かし、弱みをカバーする」 オペレーションと大きな戦略立案

今年7月に設立した日医工、共和薬品、T’s(旧・武田テバファーマ/武田テバ薬品)の3社を傘下とする持ち株会社・アンドファーマについても言及した。岩本社長は、「3社の強みを生かしながら、弱みを3社でカバーしていくということをアンドファーマの下で実現していく」と述べた。岩本社長は、「共和薬品と日医工が開発した製品をT’sが販売する、逆に日医工と共和薬品は武田テバ(現・T’s)のネームバリューで販売すれば、顧客から信頼され、受け入れられやすくなることもあるかもしれない」と見通した。

アンドファーマの役割は「どんな製品を開発するか、など大きな戦略を考える部門になるのではないか」、「3社のオペレーションをどうするか、3社がどう成長していくかという戦略をどう考えるか。もし将来的に傘下に入ってくる候補の会社があったらまとめていく。もっと色々な可能性があると考えている」と述べた。

◎日医工と共和薬品で1品目の統合始まる 「まずはフルキャパシティーで動かせるように」

3社ともに国内投資ファンドのジェイ・ウィル・パートナーズ(JWP)とメディパルホールディングスが出資するグループ会社で品目統合なども進める。すでに日医工と共和薬品の間では1品目の統合が始まるなど、動きも出始めている。これらの品目統合は個社ベースのディスカッションで進める考え。岩本社長は、「まずは自社でフルキャパシティーを動かせるようになっていきたい。一方で、我々だけがフルキャパシティーを使ったから安定供給の問題が解決するわけではない。他社との連携も積極的に行っていきたい」と表明。「共和薬品と進めているような内容の話を他社とも進めいきたい」と意欲をみせた。



プリントCSS用

 

【MixOnline】コンテンツ注意書き
【MixOnline】関連ファイル
【MixOnline】記事評価

この記事はいかがでしたか?

読者レビュー(9)

1 2 3 4 5
悪い 良い
プリント用ロゴ
【MixOnline】誘導記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
【MixOnline】関連(推奨)記事
ボタン追加
【MixOnline】記事ログ
バナー

広告

バナー(バーター枠)

広告

【MixOnline】アクセスランキングバナー
【MixOnline】ダウンロードランキングバナー
記事評価ランキングバナー