アステラス製薬と安川電機 再生医療とロボ融合のセラファ社設立 山口社長「エコシステムの“ハブ”になる」
公開日時 2025/10/22 04:52

アステラス製薬と安川電機は、汎用ヒト型ロボット「Maholo(まほろ)」を活用して再生医療等製品の製造プラットフォーム開発を手掛ける合弁会社「セラファ・バイオサイエンス」を設立した。再生医療の知見・ノウハウと、AIを活用したロボティクス技術を融合させ、再生医療産業のエコシステム構築を目指す。セラファ社の山口秀人代表取締役社長CEOは10月21日の設立説明会で、「アカデミアやベンチャー企業、製薬企業、政府機関、CDMO/CROなど全方位でのパートナーシップを追求し、再生医療エコシステムの“ハブ”としてプラットフォームの提供を目指していきたい」と強調した。
◎東京科学大とAI・ロボット開発で共同研究 大阪・つくばにも拠点設置
セラファ社は9月29日設立。資本金は資本準備金含め45億円で、出資比率はアステラス製薬60%、安川電機40%。事業内容は「次世代の再生医療等製品製造プラットフォームの開発とサービスの提供」としている。東京科学大湯島キャンパス(東京都文京区)に本社拠点を置き、26年4月から細胞製造の効率化に向けたAI・ロボット開発で東京科学大との共同研究にも取り組む。また、大阪・中之島クロスにはプロセス開発拠点、茨城県つくば市・アステラス製薬東光台事業所にはGMP製造拠点を設置。2027年10月以降のGMP製造受託開始を目指すほか、29年度以降は海外展開も見据える。
◎Maholo “職人技”を自動化・デジタル化 再現性高く開発期間短縮やコスト削減が可能
プラットフォームの中核となるMaholoは、複数の複雑な培養プロトコルに対応する双腕ロボット。細胞医療のハードルでもある“職人技”に頼っていた作業を自動化・デジタル化して高い再現性が期待できる。人と同じ道具を使って様々な実験が可能な汎用性にも優れ、作業プロセスや作業結果もワンクリックで共有できる。まさに「人の行う作業を人以上にできるロボットシステム」(山口社長)だ。さらに、Maholoを軸とした次世代細胞製造プラットフォームを導入することで、研究段階から製造プロセス開発、GMP製造まで、品質の同等性や同質性が期待される。また、開発期間を1~3年短縮し、コスト削減によって1製品あたり約40億円の利益創出につながるという。
◎山口社長「再生医療の社会実装を支える産業モデルを築く」
セラファ社では、中之島クロスに立ち上げるオープンラボで、細胞製造プロセスの最適化サービスを提供。つくばのGMP製造拠点にデジタルデータで技術移管を行い、治験薬製造につなげる。将来的には海外や協業する他社を含めてシームレスに結び、研究成果をすぐに薬へと結びつけることができるエコシステムの構築を目指す。山口社長は、「事業化も我々の取り組むべきチャレンジ。新しいサイエンスを事業化することで、再生医療の社会実装を支える新しい産業モデルそのものを築いていく」と抱負を述べた。