公明党・秋野氏 新型コロナの疾病負荷「若い方と高齢者で異なる」 リスク高い80歳以上への追加助成必要
公開日時 2025/09/25 04:48
公明党参院議員で内科医の秋野公造氏は9月24日、モデルナ・ジャパン主催の呼吸器感染症予防週間特別啓発セミナーで講演した。新型コロナ感染症の疾病負荷は、「若い方と高齢者で異なる。これが正確な新型コロナの疾患概念の解釈」との認識を示した。2023年5月~24年4月の新型コロナによる死亡者数はインフルエンザの約15倍、新型コロナによる死亡者の約8割が80歳以上とのデータを引き合いに、「死亡リスクの高い80歳以上高齢者に対する対応が急務」と強調。コロナワクチンの定期接種が現在、65歳以上で一律の枠組みになっている状況を指摘しながら、80歳以上がワクチン接種をしやすくなる追加助成などを検討する必要性を訴えた。
◎5類移行後も「非常に疾病負荷の重い感染症」
秋野氏は、新型コロナが5類感染症に移行した23年5月以降も、新型コロナは「非常に疾病負荷の重い感染症」と強調した。「『新型コロナはインフルエンザと同等になった』との言葉がおどるが、実態は新型コロナによる死亡者数はインフルエンザの15倍、特に80代、90代が多く亡くなっており、極めて疾病負荷が高い」と述べた。
新型コロナの重症化リスク因子については、特に▽年齢、▽ワクチン最終接種から2年以上空いていること――の2つを列挙。ワクチン最終接種から2年以上経過した場合、典型的なCOVID-19肺炎のオッズ比は1.29(95%CI:1.06~1.38)、p<0.001)になるとのデータを示し、ワクチン接種の重要性を指摘した。
◎ワクチンにアクセスしやすい財政上の支援を
しかし、新型コロナに対する予防接種は「B類疾病の定期接種」に分類され、65歳以上や60歳から64歳までの一定の基礎疾患を有する人を対象に、一律の枠組み(接種費用負担あり・個人予防に重点・努力義務なし)での定期接種となっている。秋野氏は、「65歳以上一律という枠組みの中で本当に(80歳以上の)高齢者の命を救うことができるのか、よく考えないといけない」と問題提起し、「例えば高齢者施設等で暮らす方はA類疾病の考え方がそぐうのではないか」と提案した。
A類疾病の定期接種に分類されると接種費用は原則公費負担となり、集団予防に重点が置かれ、接種の努力義務も課される。リスクの高い高齢者は接種無料にすべきとの提案かとの質問に秋野氏は、「無料ありきではないが、ワクチンにアクセスしやすい財政上の支援を国に行ってもらいたい。65歳以上の方を一律の枠組みで行うということではなく、メリハリをつけた対応が必要ということ」と意図を説明した。
秋野氏は厚労省勤務などを経て10年に参院議員に初当選。現在、福岡選挙区3期目。国会で「肺炎」に対する普及啓発を提案し、9月24日から30日までの期間を、これまで実施していた「結核予防週間」から「結核・呼吸器感染症予防週間」とすることを24年度に実現した。インフルエンザや新型コロナなど呼吸器感染症が例年流行する秋冬前に、産官学で呼吸器感染症に関する知識の普及啓発を図る期間と位置付けられ、今年は2年目となる。