高市首相「日本市場を魅力的に大胆、着実に進化させる」 国内外製薬企業に投資呼びかけ 創薬力官民協議会
公開日時 2026/07/13 05:00
高市早苗首相は7月10日、創薬力向上のための官民協議会で、国内外の製薬幹部を前に「我が国の医薬品市場を、より“魅力的な市場”へと、大胆かつ着実に進化させる。これまで以上に、我が国への投資をお願いする」と述べ、集中的な官民投資に意欲をみせた。官民協議会の場では、製薬業界が研究開発や製造面での投資を表明。これを受け、国際共同治験の倍増などを通じ、世界の成長に比肩する我が国の特許品市場の成長を目指す方針を示した。製薬業界が懸念を示す米国のMFN(最恵国待遇)価格政策についても、「確実に対応することをお約束する」として、製薬業界が安心して投資できる環境整備に注力する姿勢を鮮明にした。
「国内外からお集まりいただいた皆様と力を合わせて、世界とつながる日本の創薬エコシステムを構築し、日本発の革新的な医薬品を届け、日本、そして世界の患者の皆様の命と健康を守る」―。高市首相は、官民協議会でこう強調した。
官民協議会は、産官学の関係者が一堂に会し、課題認識を共有し、日本への投資の呼び込みや創薬力向上を図る目的で開催された。
◎製薬協 26~30年の対日投資額は13社で12.6兆円 中外製薬、第一三共が投資表明
日本製薬工業協会(製薬協)の宮柱明日香会長が2026~30年の対日投資額は13社で12.6兆円、1社あたりの対日投資額/年は1938億円とのデータを示し、「日本市場のさらなる成長実現によって、対日投資は一層加速してく」と強調した。中外製薬が日本の研究開発に約5000億円、設備投資に約5000億円(一部計画を含む)を投資してきたと説明。第一三共も日本発の創薬イノベーションに向け成長投資を拡大することを表明するなど、国内への投資を加速する企業もあった。
欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、会員企業のベーリンガーインゲルハイムが製造拠点である山形工場への約484億円の投資を行うなどしていることを紹介し、「創薬および製造への投資を通じて、日本の経済成長に貢献している」と強調した。一方、米国研究製薬工業協会(PhRMA)が「MFNに対応し投資を呼び込むには薬価制度改革が急務」などと訴えた。
◎高市首相「世界の成長に比肩する我が国の特許品市場の成長目指す」 国際治験の倍増などで
こうした製薬企業の表明を受け、高市首相は「特に、我が国の企業から表明いただいた数兆円規模の成長投資に加え、グローバル外資企業の皆様からも追加投資を含めた日本への継続的な投資や、日本の創薬シーズへの支援・パートーシップ強化の表明があったことを、これからの日本市場に期待された、力強く頼もしいコミットメントとして、歓迎する」と表明した。
そのうえで、「責任ある積極財政の考え方の下、官民手を携えて、危機管理投資や成長投資を大胆かつ戦略的に進める」と強調。日本成長戦略の中で、創薬を重点分野に位置付け、「世界の成長に比肩する我が国の特許品市場の成長を目指して、“スタートアップ支援”、“人材育成、研究開発力の強化”、“AIの利活用の推進”、“国際共同治験の倍増”など、大胆な措置を講じる」と述べた。
◎27年度薬価改定「初収載の評価や特許期間中の在り方」イノベーションを評価 MFNも「確実に対応」
2027年度薬価改定についても言及。「創薬イノベーションの観点から、来年度の薬価改定を実施し、医薬品の画期性への初めての収載時における適切な評価や特許期間中の薬価のあり方を含め、革新的新薬のイノベーションの更なる評価を進める」と表明。米国のMFN価格政策についても、「国民や患者の皆様に、革新的医薬品が迅速に届くように、確実に対応していくことをお約束する」と表明した。
◎官民協議会下部にワーキングを設置
官民一体となって取組みを進めるため、「官民協議会の下に、“日本成長戦略”に基づいて、今後、具体的な議論、検討を行う、新たな官民での協議の場を設けたい」とも表明した。日本成長戦略会議の創薬・先端医療ワーキンググループでは、実用化人材・インフラの確保や資金基盤・データ利用基盤の確保、医薬品アクセスの改善、基礎研究力・治験体制の更なる強化などに焦点が当たった。テーマや構成員、スケジュールなどは検討中としている。