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荻窪病院・花房理事長 活発化する血友病の新薬開発 課題は包括ケア

公開日時 2013/10/09 03:50

荻窪病院血液科の花房秀次理事長は10月7日、バイエル薬品が主催した記者説明会で、血友病治療の課題や将来像について講演した。現在は、週2~3回の静注による定期補充療法が行われているが、今後登場が見込まれる新薬では投与頻度が少なくなり、将来的には皮下注製剤や経口薬の登場も見込まれると期待感を示した。一方で、包括ケアを必要とする血友病患者に対する国内の治療体制は不十分と指摘し、今後、全国的にセンターを配置した上で地域ネットワークを活用する「包括ケアが可能な診療体制の構築が求められる」と語った。

 

血友病は先天性の凝固因子欠乏症で、未治療では関節出血や筋肉出血によって関節障害が生じるほか、頭蓋内出血など致死的な重症出血をきたす場合もある。90年代に遺伝子組み換え製剤が登場し、定期補充療法が浸透してきたことで、現在は出血予防が可能となり、患者の運動制限の解除や長期予後の改善につながっている。

 

患者の長期生存が可能となる中、患者ケアの課題は▽先天性疾患としての小児治療戦略の確立(治療開始時期や注射頻度など)▽保因者女性へのカウンセリング対応▽C型肝炎対策▽高齢血友病患者の介護施設への受け入れ困難―など、多岐にわたる。

 

花房理事長は、血友病が生涯にわたって包括ケアが求められる疾患であると強調したうえで、国内の治療体制について問題提起した。現在、血友病の治療施設は1000施設以上に上るが、年間200例以上治療する「ハイボリューム施設」は7施設のみで、多くの病院では薬物治療の実施のみにとどまっていると指摘し、「患者が必要な包括ケアを提供できる施設は少ない。センター化構想を実現し、そこから地域診療とのネットワーク体制を敷くべき」と提言した。現在、花房理事長らが中心となって血栓止血学会でセンター化構想実現に向けた取り組みを進めている。

 

一方、新薬開発については、多数のプロジェクトが進行中として、薬物療法の発展に期待感を示した。将来的にはPEG化製剤の登場などにより週1~2回での管理が可能となることが見込まれるほか、皮下注製剤や経口薬の開発も着手されているという。花房理事長は、小児患者の頻回な注射治療は親にとっての負担感も大きく、新薬へのニーズや期待は大きいと説明した。

 

【訂正】下線部の記載に誤りがありました。訂正いたします。(10月9日16時30分)

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