富士経済 血液関連希少疾患薬市場 26年に3000億円超え 血小板減少症、PNH、HAE中心に市場拡大
公開日時 2025/06/20 04:51
富士経済は6月19日、血友病や遺伝性血管性浮腫(HAE)など血液関連の希少疾患治療薬の市場予測を発表した。血小板減少症治療薬、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)治療薬、HAE治療薬を中心に市場拡大が続くと分析。24年の市場規模2779億円が26年に3000億円を超え、35年には4000億円近くに達すると予測した。
調査対象は血友病、血小板減少症(免疫性血小板減少症(ITP)・血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)含む)、血液製剤、HAE、PNH、自己免疫性溶血性貧血などの治療薬。同社専門調査員による参入企業及び関連企業・団体へのヒアリング及び関連文献調査、社内データを併用して、今年3~5月に調査した。
その結果、血液関連希少疾患治療薬市場は25年2979億円、26年3104億円、27年3223億円――と成長し、30年に3574億円、35年に3997億円、40年に4264億円にまで拡大すると予測した。
疾患別の市場分析をみると、血液関連希少疾患薬市場で最も規模が大きい血友病治療薬は、薬価引下げにより一時的に前年比マイナスになるものの、「24年以降に発売された新薬の伸びにより、27年には前年比プラスに転じる」とした。ただ、30年以降は、「期待度の高い開発品が複数発売されるものの、希少疾患で患者数が限定されることもあり、微増または横ばいが予想される」と分析した。近年発売した血友病治療薬には、抗TFPI抗体のアレモ皮下注(ノボ ノルディスク ファーマ)やヒムペブジ皮下注(ファイザー)、遺伝子組み換えブタ血液凝固第VIII因子製剤・オビザー静注用(武田薬品)、高活性維持型血液凝固第VIII因子製剤・オルツビーオ静注用(サノフィ)――などがある。
血液関連希少疾患薬市場の拡大に貢献するとのHAE治療薬は、血漿カリクレイン阻害薬・オラデオカプセル(オーファンパシフィック/鳥居薬品/バイオクリスト・ジャパン)とタクザイロ皮下注(武田薬品)を列挙した上で「治療の選択肢が増えた」と指摘。今年に入ってから、ファースト・イン・クラスの抗活性化第XII因子モノクローナル抗体・アナエブリ皮下注(CSLベーリング)も発売されており、HAE市場は新薬上市が相次いでいる。