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厚労省 新薬13製品を承認  新規機序の不眠症用薬ベルソムラ錠など

公開日時 2014/09/29 03:52

厚生労働省は9月26日、新薬13製品19品目を承認した。新規機序の不眠症治療薬ベルソムラ錠(MSD)や、同じく新規機序の緑内障・高眼圧症点眼液グラテナック(興和)のほか、がん化学療法による好中球減少症に用いるG-CSF製剤グランの持続型製剤ジーラスタ皮下注(協和発酵キリン)が登場した。また、既存薬グリベックなどが奏功しない場合の治療選択肢となる慢性骨髄性白血病の分子標的薬ボシュリフ錠(ファイザー)も承認された。

承認された医薬品は次のとおり(カッコ内は成分名と申請企業名)

▽ベルソムラ錠15mg、同20mg(スボレキサント、MSD):「不眠症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間は8年。初のオレキシン受容体拮抗薬。同受容体を阻害することで、脳を覚醒状態から睡眠状態へと移行させる。成人は1回20mg、高齢者は15mgを就寝直前に経口投与する。

▽ジーラスタ皮下注3.6mg(ペグフィルグラスチム遺伝子組換え、協和発酵キリン):「がん化学療法による発熱性好中球減少症の発症抑制」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。フィルグラスチム(製品名グラン)にポリエチレングリコール(PEG)を結合し、体内での分解の遅延などにより持続効果が得られる。既存薬では連日投与だったところ、ジーラスタでは化学療法1サイクル(3週間)あたり1回の投与となる。

▽アグリリンカプセル0.5mg(アナグレリド塩酸塩水和物、シャイアー・ジャパン):「本態性血小板血症」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。本態性血小板血症は血小板数が持続的に増加する骨髄増殖性疾患で、血栓性および出血性の重症合併症をもたらすことがある。国内推定患者数は約3000人。

▽ミダフレッサ静注0.1%(ミダゾラム、アルフレッサ ファーマ):「てんかん重積状態」の効能・効果を追加する新効能・新用量・剤型追加に係る医薬品。再審査期間4年。麻酔前投薬などの適応で発売されているドルミカム注射液と同成分。ドルミカムがてんかん重積状態に使用されている実態があり、アルフレッサがこの適応の治療薬として異なる濃度で開発した。推定患者数は年間5000人未満。

▽グラナテック点眼液0.4%(リパスジル塩酸塩水和物、興和):「緑内障・高眼圧症で他の緑内障治療薬が効果不十分または使用できない場合」を効能・効果とする新有効成分医薬品。再審査期間8年。平滑筋細胞の収縮などの生理機能を担い、眼組織にも存在するRhoキナーゼを阻害する新しい作用機序の点眼液。シュレム管を介する主流出路からの房水流出を増加することで眼圧を下げると推定されている。既存薬が効果不十分または使用できない緑内障・高眼圧症患者は推定38万人程度とされる。

▽リクシアナ錠15mg、同30mg、同60mg(エドキサバントシル酸塩水和物、第一三共):「非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制」の効能・効果を追加する新効能・新用量・剤型追加に係る医薬品。再審査期間は残余(平成31年4月23日まで)。

活性化血液凝固第Ⅹ因子を選択的かつ可逆的に阻害するXa阻害薬。非弁膜性心房細動患者は推定70万人で、その半数が抗凝固療法の対象とされる。静脈血栓塞栓症の推定患者数は3万8000人。今回追加された適応の用法・用量は、体重60kg以下の場合30mgを1日1回、体重60kg超の場合は60mgを1日1回経口投与するというもの。なお、体重60kg超の場合も腎機能や併用薬に応じて30mgに減量する。

▽ホメピゾール点滴静注1.5g「タケダ」(ホメピゾール、武田薬品):「エチレングリコール中毒、メタノール中毒」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。エチレングリコール、メタノールは誤飲や自殺企図などで摂取される場合があり、毒性から中枢神経障害や腎不全などの中毒症状が生じ、死に至る場合もある。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請されていた。

▽ルティナス腟錠100mg(プロゲステロン、フェリング・ファーマ):「生殖補助医療における黄体補充」を効能・効果とする新投与経路医薬品。再審査期間6年。体外受精や胚移植など生殖補助医療では自然妊娠時に比べて胚移植後に黄体ホルモンが不足するため、その補充が必要となる。生殖補助医療は年間約24万回(周期)実施されており、出生児数は3万人程度とされる。

▽ブイフェンド錠50mg、同錠200mg、同200mg静注用、同ドライシロップ2800mg(ボリコナゾール、ファイザー):「重症または難治性真菌感染症」を効能・効果とする新用量・剤型追加に係る医薬品。再審査期間4年。小児での用法・用量が加わり、ドライシロップの剤型も追加される。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請されていた。深在性真菌感染症の患者数は明確ではないが、注射剤による治療が必要な患者数が年間20万人とされる。

▽マブキャンパス点滴静注30mg(アレムツズマブ〈遺伝子組換え〉、サノフィ):「再発または難治性の慢性リンパ性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。リンパ球やその他の免疫細胞の表面に結合して腫瘍増殖を抑制する抗体製剤。国内の推定患者数は約2000人。厚労省の「未承認薬使用問題検討会議」で開発要請されていた。

▽バニヘップカプセル150mg(バニプレビル、MSD):「セログループ1のC型慢性肝炎における血中HCV RNA量が高値の未治療患者、インターフェロンを含む治療法で無効または再燃となった患者のウイルス血症の改善」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。再審査期間8年。C型肝炎ウイルスが増える際に必要な酵素(プロテアーゼ)を阻害する。ペグインターフェロンアルファ-2b(遺伝子組換え)、リバビリンと併用して用いる。C型肝炎の推定感染患者数は150~200万人。この7割程度が慢性肝炎に移行するとされる。

▽ボシュリフ錠100mg(ボスチニブ水和物、ファイザー):「前治療薬に抵抗性または不耐容の慢性骨髄性白血病」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。慢性骨髄性白血病(CML)細胞の増殖などに関与するチロシンキナーゼを阻害する。CMLのキナーゼ阻害薬としてはイマチニブ(一般名)、ニロチニブ(同)、ダサチニブ(同)があり、ボシュリフ錠の治験では、イマチニブ抵抗性または不耐容の場合の2次治療、およびイマニチブ治療後のダサチニブまたはニロチニブ抵抗性または不耐容の場合の3次治療で有効性が認められている。CMLの年間発症頻度は10万人あたり1~2人とされる。

▽ザノサー点滴静注用1g(ストレプトゾシン、ノーベルファーマ):「膵・消化管神経内分泌腫瘍」を効能・効果とする新有効成分含有医薬品。希少疾病用医薬品。再審査期間10年。細菌から分離されたニトロソウレア系抗悪性腫瘍剤。DNAをアルキル化することで腫瘍増殖を抑制する。厚労省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請されていた。国内推定患者数は7250人程度。

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