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中医協薬価専門部会 ハーボニー配合錠など“巨額再算定”の対象に

公開日時 2015/12/03 03:52

厚生労働省は12月2日の中医協薬価専門部会に、経口C型肝炎治療薬・ハーボニー配合錠など画期的だが、非常に高薬価で、1000億円を超えるような“巨額な”売上をあげる製品について、算定方式によらず薬価を再算定するルールを提示した。ただ、既存の市場拡大再算定の延長線上ではなく、皆保険制度を維持するための「例外的な位置づけ」とする方針。このほか後発品の初収載時の薬価を先発品の0.5掛け(10品目を超える内用薬は0.4掛け)に見直すほか、後発医薬品80%目標達成を見据えて、長期収載品の特例引き下げ(Z2)の置き換え率を見直す。これらの方策で薬価等の通常改定財源1400億円に加え、数百億円規模の改定財源を確保する考え。16年4月改定の財源論議の焦点は薬価制度の見直しと調剤報酬改定に絞られてきた。


“巨額”な製品は、従来市場拡大再算定の対象とされてきた原価計算方式だけでなく、類似薬効比較方式の製品も含め、年間販売額1000億円超と位置づける。1500億円以上の製品についてはさらなる薬価の引き下げを行う考え。「年間販売額が1000億円を超え1500億円以下、かつ予想販売額の1.5倍以上」の場合は現行ルールと同様、最大25%引き下げる。さらに「年間販売額が1500億円を超え、かつ予想販売額の1.3倍以上」の製品については最大50%の引き下げを提案した。



◎ソバルディ、プラビックス、アバスチン、ヴィキラックスが対象か?


該当する製品は、ジェノタイプ1型C型肝炎治療薬・ハーボニー配合錠などとみられている。同剤は、9月1日の発売以降、他に類を見ない垂直的な立ち上がりを見せ、発売後短期間で数百億を売上げている。8月26日に開かれた中医協で高薬価が指摘され、市場拡大の懸念も示されたが、厚労省側は、薬価改定時に市場拡大再算定のルールがあると説明していた。ジェノタイプ1型C型肝炎治療薬であるヴィキラックス配合錠(アッヴィ合同会社)も同剤の類似薬として引き下げの対象になるとみられる。一方で、すでに市場にあったダクルインザ錠、スンベプラカプセルは同じカテゴリーに属すが、すでに市場が縮小傾向に転じており、今回の対象とはならないとの見方もあるが、9月に実施された医薬品価格調査での結果を踏まえて検討されることになる。また、ジェノタイプ2型C型肝炎治療薬のソバルディ(ギリアド・サイエンシズ)は、IMSデータによると2015年第三四半期(7〜9月)の売上高は432億9400万に到達。中医協資料では、ピークの売上高を987億円としており、引き下げに該当する可能性が高い。


このほか、抗血小板治療薬・プラビックス(サノフィ、14年度売上高=1247億7300万円、収載資料上のピーク時売上高=534億円)、抗がん剤・アバスチン(中外製薬、14年度売上高=1043億6000万円、収載資料上のピーク時売上高=301億円)などが該当する可能性がある。



◎後発医薬品初収載時は0.5掛け Z2は10%拡大へ
 

そのほか、後発医薬品については、初めて収載される場合の価格について先発品の0,5掛け、10品目を超える内用薬は0.4掛けとすることが示された。バイオシミラーは現行の0.7掛けを維持する。価格帯については現行の3価格帯維持とし、2016年改定後の状況を踏まえてさらなる集約を検討する。すでに価格帯が形成されている成分に参入する場合は原則最低の価格帯に合わせる。


長期収載品の薬価については、後発医薬品数量シェア80%目標が示される中で、後発医薬品の置き換えが進まない製品の特例引き下げ(Z2)の置き換え率を現行から10%引き上げ、「30%未満」、「30%以上50%未満」、「50%以上70%未満」に引き上げることも提案された。この日の中医協では、支払側の幸野庄司委員(健康保険組合連合会理事)が、武田薬品が長期収載品を移管し、イスラエルのテバ・ファーマシューティカル・ インダストリーズと合弁会社を設立する動きがあることを引き合いに、「特許が切れたら後発医薬品と同じにしていくのが製薬企業の考え方かと思った」と述べ、さらなるZ2の拡大検討を求める一幕もあった。



◎ 基礎的医薬品 抗生物質や医療麻薬などで薬価維持 新薬創出加算は試行継続へ


長期間臨床現場で使用実績があり、医療上必要性の高い医薬品である“基礎的医薬品”は、現行の不採算再算定、最低薬価になる前の薬価を下支えする制度として新設、試行的に導入される。対象品目の薬価は最も販売額が大きい銘柄に価格を集約し、その薬価を維持する。実質、薬価が引き上げられる製品も出る可能性がある。


対象品目は、収載から25年以上経過し、乖離率が全体の平均以下であることを基本的な要件とし、一般的なガイドラインに記載されていない製品や特定の医療機関で使用されているなど、汎用性のない医薬品は除外する。具体的には、過去の不採算品再算定品目に加え、抗生物質や医療用麻薬などを候補とし、中医協で決定するとした。


そのほか、新薬創出・適応外薬解消等促進加算の試行継続、現行の先駆導入加算を「先駆け審査指定制度加算」に改め、先駆け審査指定品目を対象に加算率を10%を原則としながらも、国内臨床成績に基づき最大20%とすることなども盛り込まれた。
 

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