PhRMA 世界で開発中の新薬の74%にファースト・イン・クラスの可能性
公開日時 2017/07/24 03:51
米国研究製薬工業協会(PhRMA)はこのほど、世界で臨床開発段階にある医薬品9404プロジェクトの74%が、新たなアプローチによる治療選択肢となるファースト・イン・クラス(画期的新薬)の医薬品になる可能性があるとの報告書をまとめた。PhRMA米国本部が7月18日(現地時間)に発表したものを、日本オフィスが21日に抄訳して発表した。
報告書名は、「バイオ医薬品のパイプライン:臨床開発段階にある革新的な治療法」(The Biopharmaceutical Pipeline: Innovative Therapies in Clinical Development)。これは、PhRMAがアナリシス・グループ社に委託した調査結果に基づいてまとめたもの。医薬品開発におけるパイプラインの世界的現状を調査し、バイオ医薬品業界の研究者らが追究している新たなアプローチを検証している。
開発段階ごとにファースト・イン・クラスの医薬品となり得るプロジェクト数をみてみると、フェーズ1は調査対象3723プロジェクトのうち、ファースト・イン・クラスとなり得るのが3073プロジェクト(83%)、フェーズ2が同4424プロジェクトのうち3205プロジェクト(72%)、フェーズ3が同1257プロジェクトのうち671プロジェクト(53%)――。合計すると、9404プロジェクトのうち6949(74%)がファースト・イン・クラスになり得ると分析している。
分野別に臨床開発段階のプロジェクト数をみると、がんを含む腫瘍学の分野に4000件以上のプロジェクトがあるほか、心血管疾患に450プロジェクト、神経系疾患に700プロジェクト――あるとしている。神経系疾患の内訳はアルツハイマー病で143プロジェクト、パーキンソン病で67プロジェクト、筋萎縮性側索硬化症(ALS)で29プロジェクト――など。
また、報告書では、臨床開発中の822プロジェクトが米FDAから希少疾病用医薬品の指定を受けているとも指摘している。
PhRMAのスティーブ・J・ユーブル理事長兼CEOは、「私たちは医薬品の新時代を迎えており、科学の躍進が患者さんのケアを変貌させ、世界的に最も困難とされる医療問題に対する治療法の発見も可能となっている」とし、「今回の新たな報告書が裏付けているとおり、病気を予防、治療し、完治させてしまう信じ難いほどの医学的躍進の始まりを目の当たりにしている」とコメントしている。
報告書全文は以下からダウンロードできる(英文のみ)。
http://www.phrma.org/report/the-biopharmaceutical-pipeline