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EMA本部誘致に17か国が名乗り

公開日時 2017/08/24 03:50

英国のEU離脱(Brexit)に備え、欧州医薬品庁(EMA)は、その業務が支障なく継続されるよう着々と準備を進めている。EMAは8月1日、2019年予定のBrexitによりEMA本部が英国以外の国に移転するが、これによるEMA業務への影響を可能な限り回避するための今後の方針を定めた業務継続計画を作成したと発表した。

業務継続計画では、英国離脱後のEMAのリソースを再配分、有効活用するために、EMA業務全体を見直し、EMA中核業務の確保やEUにおける公衆衛生の確保を目的に、その業務を従来と変わりなく維持する業務と合理化が可能な業務などに分類、カテゴリー1から3の優先順位を付けた。

カテゴリー1は、EMAの中核業務である医薬品の有効性・安全性を確保する規制制度の基盤の維持である。EU諸国国民の健康に悪影響を及さないようにこれを守ることが極めて重要だと指摘した。

カテゴリー2は、医薬品をめぐる政策的課題への対応である。EMAの人材面および業務面から可能な限り維持する業務として、医薬品アクセスへの改善、臨床データの積極的な公開、抗菌剤耐性との闘い、医療技術評価(HTA)機関との交流などをあげた。

カテゴリー3は、合理化の対象となる業務である。EMAは、今年5月には、EMA本部移転業務担当の43名のスタッフが2017年末に移転地が決定されるので、その業務から外すことを決めた。このほか、欧州で市販中の全医薬品についての新たな情報源となる欧州医薬品ウェッブポータルの構築、承認申請時の電子的申請を認める電子申請プロジェクトへのEMAの関与や今後のEMAの業務の透明性を向上させるための計画表の作成-などを一次的に中止する。

一方、Brexitが決まって以来、関心の的だった、EMA本部の移転地問題については、欧州委員会(EC)は、8月1日、かねてから加盟諸国に、EMA本部誘致の希望を募っていたが、7月31日希望を締め切り、19か国が手を上げたと発表した。

英国を除くEU加盟国27か国のうち、ほとんどの主要国が希望したことになるが、その背景には、EMA本部の移転により、当該国には人材が集結、人事交流、諸機関への流入などにより科学レベルの向上、頻繁な国際会議の開催や人事往来で経済的効果の創出、医療情報の収集・蓄積による当該国の薬事行政への相乗効果など誘致国にはプラス面が多いと見られていることがある。

EMAは、移転先決定の基準として、Continuity(入居するビルなどインフラ面から業務の継続性の確保)、Connectivity(当該地の交通機関の便宜性)、Commitment(日常的なEMAへの関与のあり方)、およびCommunity(当該国での従業員の生活環境)の4項を上げ、それに対する回答を希望国に提出させた。


移転希望の19か国19都市は次の通り。オランダ(アムステルダム)、ギリシャ(アテネ)、スペイン(バルセロナ)、ドイツ(ボン)、スロバキア(ブラチスラバ)、ベルギー(ブラッセル)、ルーマニア(ブカレスト)、デンマーク(コペンハーゲン)、アイルランド(ダブリン)、フィンランド(ヘルシンキ)、フランス(リール)、マルタ、イタリア(ミラノ)、ポルトガル(ポルト)、ブルガリア(ソフィア)、スェーデン(ストックホルム)、オーストリア(ウイーン)、ポーランド(ワルシャワ)、クロアチア(ザグレブ)。

EMA移転地は、11月14、15日に開催されるEC総会で決定される予定。

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