18年国内製薬トップ年頭所感 変化の年 新たな環境に向けマインドセットを AI活用への言及も

公開日時 2018/01/09 03:51
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国内製薬企業各社は1月5日までに経営トップの年頭所感を発表し、研究開発型の専業大手・準大手では、2018年を変化の年と位置付け、新たな事業環境に向けマインドセットを求める内容が目立った。18年度に実施される薬価制度改革の影響だけでなく、デジタルヘルスの進展、AIの台頭も念頭に置いたもので、新たな環境の中で、新たな技術をビジネスにいかに応用し、いかなる価値を提供していくのかについて、まずは関心を寄せ、社内で議論を求める社もあった。なお、アステラス製薬は今年、畑中好彦社長の年頭挨拶を外部に開示しなかった。

【武田薬品】クリストフ・ウェバー社長は、「2018年は変化の多い年となるだろう」と指摘し、「変化はチャレンジ、自身をリセットする良い機会と受け入れ、柔軟かつ迅速に対応していくマインドセットが重要だ」と呼びかけた。さらに、2018年は「3つの重点疾患領域における革新的な新薬創出だけでなく、ワクチン事業も大きな節目を迎える」として、グローバルにおける製薬業界のリーディングカンパニーの確固たるプレゼンスの確立、レピュテーションの向上に取り組むとした。働き方にも触れ、戦略遂行には「まず我々自身が働きやすい、より素晴らしい職場環境を作っていくことが重要だ」とし、それによりイノベーションを促進し、企業成長につながると持論を述べた。

【第一三共】眞鍋淳社長は、17年度に国内医療用医薬品売上高でトップになったことについて社員を称えたうえで、「引き続き、今年度も期待のリクシアナの製品ポテンシャルの最大化を軸に、全社一丸となってNo.1の座を固めていこう」と呼びかけた。その上で、ジェネリック、ワクチン、OTC事業を含め「我々の強みである予防からセルフメディケーション、そして治療に至るまで、幅広い医療ニーズへの貢献を通じて、名実ともに日本No.1カンパニーを実現しよう」と、戦略目標に向けた取り組みを促した。そのために社員には「主体的に考え、実行する」マインドを持ち、実践することを求めた。

【エーザイ】内藤晴夫CEOは、「2018年は、厳しい薬価改定の年」と指摘した。しかし、取り組むべきは「ライフサイエンスの道であり、イノベーションの継続的な創出である」と述べ、それに向け全社一丸の取り組みを呼びかけた。薬価制度改革案については「医薬品の価格は医薬品価値に基づくべきであるとの考えが十分反映されていない」と批判し、継続的な議論を求めた。

【中外製薬】永山治会長兼CEOは、医療、社会環境の変化で「製薬産業はスピードの時代」との認識を示した。具体的には、「ライフサイエンスとICTを中心とする科学と技術の急速な進歩、日本と世界の人口動態の変化により、社会ならびに製薬業界全体が日々大きく変化している」ことを挙げ、「これらの変化は、当社がさらに飛躍する絶好の機会」と捉えることを求め、激しくなる競争において、スピード感を持ってイノベーションを創出することが「トップ製薬企業になるために不可欠」と訴えた。国内事業では、現在承認申請中のエミシズマブ(血友病薬)、アテゾリズマブ(抗PD-L1抗体、非小細胞肺がんで申請)、オビヌツズマブ(B細胞性濾胞性リンパ腫薬)を大型新製品と位置付け、「早期の市場浸透を目指す」と表明した。

【大塚ホールディングス】樋口達夫社長兼CEOは、18年度を最終年度とする中期経営計画に触れて「本年は事業の多様化を目指す5年間の総仕上げの年」と位置付け、医療関連では「中枢、がん、循環器・腎領域を中心とした新薬群、ニュートラシューティカルズ関連事業では、機能性飲料・食品等の諸施策を積極的に推進する」と表明した。また、持続成長のため社員の健康増進を図る取り組みも進めるとした。

【田辺三菱製薬】三津家正之社長は、薬価制度改革により「一層の厳しい事業環境が見えている」とする一方で、NDBなどビッグデータ、AI、IoT技術に触れ「活用の裾野が指数関数的なスピードで拡大している。技術とビジネスの垣根がなくなり、その融合による新たな異次元イノベーションが進むことが予想される」と指摘した。そのうえで「新たな価値を提供することで、医療の未来を切り拓いていく」と表明した。そのため、「従来の枠を超えて、会社、組織、個人に求められるアビリティーとは何かを考え、それを獲得しながら事業を拡大して行く1年にしたい」と、事業や社会環境の変化を捉え、事業に活かしていくマインドを求めた。

【塩野義製薬】手代木功社長は、薬価をはじめとする制度改革は「非常に厳しい内容、と受け止められている」とした上で、17年頭に述べた「大きな変化は偶然ではなく必然で起こっていること」を引いて、これが自身に組み込まれていれば「新しい薬価制度も将来に向けての流れの中では考え得る話であったと思う」と、冷静に受け止めるマインドを求めた。そのうえで18年を、今後に向けての始まりであり、その基礎を構築するという意味で「起」という言葉を社員に送り、「例年にも増して新しいことにチャレンジをしていこう」と呼びかけた。

【大日本住友製薬】多田正世社長は、2018年を「新しい時代への夜明け前が始まる年」と位置付けた。新しい時代への鐘を鳴らすのが、今春発表する新たな中期経営計画だとし、その推進には失敗を恐れず、それぞれの持ち場でベストを尽くしてほしい」と呼びかけた。併せて、AI、デジタルヘルスへの関心を寄せるよう求めた。「社会や私たちの事業を大きく変えるかもしれないこの新技術に関し、各自が書物からの学習や職場の議論を通して、理解を深め、仕事へり活用を目指してほしい」と、対応を促した。

日薬連と製薬協の両会長 薬価制度改革「安定性と予見性」強く求める 

日本製薬団体連合会(日薬連)の多田正世会長と、日本製薬工業協会(製薬協)の畑中好彦会長は、それぞれ発表した年頭所感で、薬価制度改革案が各社の事業運営に大きな影響を与えるとした上で、提案に欠けている「安定性と予見性」が、新薬等の開発、供給には不可欠であるとして、今後も強く求めていく姿勢を示した。

日薬連の多田会長は、薬価制度改革案に対し「総じて薬価を引き下げる方向の提案」と認識を示した上で、新薬創出加算に対し「対象を大幅に絞り込むための品目要件や、極めて複雑で予見性の乏しい企業要件により、多くの品目で薬価が維持されないという予想外の厳しい内容」と指摘した。長期収載品、後発医薬品の算定ルールの見直し案も含め厳しいとし「事業の根幹をなす薬価は継続的に引き下げられ、国内の医薬品事業は立ち行かなくなり、新薬の開発や医薬品の安定供給に支障が生じ、いずれは患者さんの治療に貢献できなくなるのではないかと危惧している」と表明した。

製薬協の畑中会長は、薬価制度改革案に対し「製薬産業にとって極めて大きな影響を与える」との認識を示した上で、「革新的医薬品の研究開発・安定供給において薬価制度は極めて重要な位置を占めるものであり、企業経営や開発戦略の観点からも、安定性・予見性のある制度設計が不可欠」と強調。「本年もステークホルダーの皆様と対話を重ねながら、引き続き業界として主張や要望を行っていく」との姿勢を示した。

卸連・鈴木会長 「流通改善に全力で取り組む」 

日本医薬品卸売業連合会(卸連)の鈴木賢会長は年頭所感で、「流通改善に全力で取り組まなければならない」と表明した。「流通改善の完遂」が「『国民皆保険の持続性』と『イノベーションの推進』を両立し、『国民負担の軽減』と『医療の質の向上』を実現させる重要な前提条件であることを考えている」との認識を示し、会員企業に協力を呼び掛けた。市場環境の変化にも触れ「これまでの成長のペースが見込めない状況」とし、薬価制度を含む制度改革により「これまでに経験したことのないほどの変化に直面する」との認識を示した。
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