日薬連・安川会長 次期改革議論「風穴閉じる前に次の矢打ち込む」 中医協”ROE5%”発言AI評価に自信
公開日時 2026/01/21 05:30

日本製薬団体連合会(日薬連)の安川健司会長(アステラス製薬会長)は1月20日、日本ジェネリック製薬協会の賀詞交換で、次期薬価制度改革に向けて、「今年は風穴が閉じる前に、また次の矢を打ち込みたい」と意欲をみせた。2026年度薬価制度改革に向けた中医協の場での業界意見陳述で、営利企業の経営者の立場から「ROE5%を稼げるような薬価でなければ国民皆保険制度に反対だ」と主張。業界内外で物議を醸している。安川会長はこの日も同様の主張を繰り広げたうえで、この発言を社員がAIで分析したところ、「私の発言が中医協に風穴を開けた」と話し、自身の発言の影響力に自信をみせた。一方で、業界としての主張が秋以降となったことから、早期から主張を繰り広げ、積極的に議論に臨む姿勢も強調した。
◎26年度薬価制度改革議論「反省点は秋の中医協から主張したこと」
安川会長は26年度薬価改定について、12月26日の中医協で市場拡大再算定の類似品のいわゆる共連れの廃止が決定したことから、「最後の稼働日までなかなか結論が出ずにヤキモキしたが、最大に残念だったのは、私が会長となり、中医協に出席しているが、まずはインフレの世の中で、“インフレ対応分の5%分は全て薬価に載っけろ”という要求をさせていただいたが、これは全く実らなかった。皆様に、この実りをお届けできず、申し訳なかったし、また残念に思っている」と話した。
その理由として、「反省点は秋の中医協から主張したこと。初夏の骨太の時から、しっかりとした議論構築をして、そこから盛り込む準備が足りなかった」と振り返った。
◎中医協発言 「ROE5%の利益が出なければ国民皆保険に反対」と改めて説明
中医協での自身の発言に言及。「中医協の席上で(中医協委員から)“値上げしろと言っているけれども、この皆保険制度をあんたはどう思うんだ”と質問を受け、私は皆保険制度はいいと思うけれども、大きな条件をクリアしていただかなければ、この制度そのものには賛成できないと申し上げた」と振り返った。
その“条件”としては、「我々の製薬業界皆がしかるべき努力をしたあげく、この制度を利用すれば、各社とも ROE 5%ぐらいのちゃんとした利益が出る。こういうような値段を付けていただかなければ、この制度には反対だと申し上げた」と説明した。
この発言そのものがAIの分析では高評価だったとして、次期制度改革議論にも積極的に参画する姿勢を強調した。
◎国民に負担増求める「世論を作り上げる必要がある」 アドボカシー活動を呼びかけ
中でもキーワードとしてあげたのが「トリレンマ」。国民皆保険について、「国民に最高のアクセスを提供することと、国民に最高の医療・薬剤を提供することと、それからコストの低減は、これは三つ巴の関係にあって、 3つとも得ることはできない」と説明。「今年は、国民レベルの議論をしていただいて、この3つの要因のうち、日本国として何を追求していくのか。それがアクセスと質であればコストは払っていただく。社会保障費を減らすのではなく、ちゃんとしたサービス、品質に見合ったコストをぜひとも払っていただくと、こういう世論を作り上げていく必要があると思っている」と主張を繰り広げた。
このため、アドボカシー活動の重要性を改めて強調。「業界の持っている価値、社会に提供している価値、社会にこれから提供できる価値、これらを発信していただくとともに、それには“きちんとしたコストをいただきますよ”という強い意見を皆様にも発信をしていただきたい」と訴えた。
国が製造や流通について補正予算などで対応する方針を示したことにも触れ、「皆さん、それを積極的に活用していただき、それがあってもまだうまくいかないということがあれば、きちんとした議論と、次なる要求を作っていただき、個社としての交渉もいいと思うが、協会あるいは日薬連とともに、政府に向かって次なる議論を仕掛けていきたい」とも話した。