アステラス・17年度決算 国内医療用薬売上15%減収、ミカルディス特許切れで50%減

公開日時 2018/04/27 03:52
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アステラス製薬は4月26日、2018年3月期(17年度)決算を発表し、日本の医療用医薬品事業の17年度売上は3834億円、前年度に比べて15.3%減となった。主力の降圧剤ミカルディスに17年6月に後発品が参入、同剤の売上が463億円と前年度比50%減となったことや、同年4月にガスターなど長期収載品16製品を他社に譲渡したことが、国内事業減収の主因となる。なお、長期収載品の譲渡による減収額は開示していない。

■安川社長 スペシャルティ領域開発品に合わせて「営業もシフト」

18年度の国内事業は売上3653億円、前年度比4.7%減を計画している。前立腺がん治療薬イクスタンジ、過活動膀胱治療薬ベタニス、慢性便秘症の適応追加を見込むリンゼスなどは伸長するが、▽会社として5%台半ばの薬価改定影響(170億円減)▽ミカルディスの更なる後発品影響▽骨粗鬆症治療薬ボノテオの特許切れ・後発品参入――といった減収影響をカバーできないとしている。

18年度が計画通りとなれば、国内事業は16年度から3年連続のマイナス成長となる。そして、国内事業は18年度以降も主力品の特許切れが相次ぐ。同社によると、19年3月に喘息薬シムビコート、同年11月に消炎鎮痛薬セレコックス、20年6月に抗がん剤タルセバ、同年9月に抗真菌薬ファンガード/マイカミン、同年12月に過活動膀胱治療薬ベシケア――が特許切れする。

このように国内事業は18年度以降、プライマリケア領域製品の相次ぐ特許切れで厳しい業績が見込まれるが、その一方で、日本を含む開発後期のパイプラインは、がん、泌尿器・腎疾患、免疫科学などスペシャルティ領域に多い。国内最多のMR2400人体制で今後も展開していくのか気になるところだが、この点について安川健司社長は同日、東京本社で開いた決算会見で、「日本だけ特殊な開発パイプラインということはない。今のグローバルのパイプラインに合わせて日本の営業もシフトしていく必要がある。MR数をどうしていくかについては今、回答を持ち合わせていないが、時期がきたら説明する」と語った。

一般的にスペシャルティ領域製品を扱う組織は、プライマリ領域製品を扱う組織よりも小さいことから、MR体制をコンパクトにする可能性が高そうだ。

安川社長は長期収載品について、「(ガスターなど)16製品を譲渡したが、今後も特許切れを迎える製品やエンドステージにある製品は同様のことをやっていこうと思っている」と述べ、今後も長期収載品の他社への譲渡を進める考えを示した。

■腎性貧血薬ロキサデュスタット、抗リウマチ薬ペフィシチニブ 18年度国内申請を計画

同社は5月22日に18年度を含む新たな中期経営計画を公表する。ここで最大の経営課題となる19年度以降のグローバルでの主力品パテントクリフへの対策や戦略を明らかにするが、安川社長はこの日の決算会見で、近く業績貢献することを期待している7プロジェクトと、19年度以降に業績貢献を特に期待している6プロジェクトを明らかにした。

近く業績貢献することを期待している7プロジェクトのうち、日本市場に関係するのは5プロジェクト。具体的には、▽再発又は難治性FLT3遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病(AML)を対象疾患とするギルテリチニブ(18年3月申請)▽リンゼスの慢性便秘症の適応追加(17年9月申請)▽骨折の危険性の高い骨粗鬆症を対象疾患とするロモソズマブ(16年12月申請)▽慢性腎臓病(透析期)に伴う貧血を対象疾患とするロキサデュスタット(18年度申請予定)▽関節リウマチを対象疾患とするJAK阻害薬ペフィシチニブ(18年度申請予定)――となる。

■イクスタンジのLCMなど6プロジェクト「遅延なく上市目指す」

19年度以降に業績貢献を特に期待している6プロジェクトは、「中長期的に経営を支えてくれるものであり、遅延なく上市を目指したい」(安川社長)というほど期待が大きい。

具体的には、▽前立腺がん治療薬イクスタンジのライフサイクルマネジメント(LCM、全世界)▽様々なAML患者に対するギルテリチニブの適応追加(全世界)▽尿路上皮がんを対象疾患とするenfortumab vedotin(全世界)▽胃腺がん及び食道胃接合部腺がんを対象疾患とするzolbetuximab(全世界)▽慢性腎臓病(保存期及び透析期)に伴う貧血を対象疾患とするロキサデュスタット(日欧)▽更年期に伴う血管運動神経症状を対象疾患とするfezolinetant(米)――となる。

■武田薬品のシャイアー巨額買収に「カルチャーが違いすぎる」「興味ない」

安川社長は企業買収(M&A)戦略について、「単なる規模の拡大を求めたM&Aに興味はない」とし、「フォーカスエリアでのテクノロジープラットフォームがあるところに積極的にアプローチしていきたい。もちろん開発後期品についても興味がないわけではない」と従来からの同社のスタンスを説明した。同社のM&A予算の上限は2000億円との一部報道も否定。「上限で評価しているわけではなく、買収に見合うアセットをもっているのであれば、M&Aの対象にしたい。いくつかの銀行からも、しっかりしたディールであればお金を貸すとの約束もある」と語った。

武田薬品によるシャイアー社の巨額買収が進んでいることに関して安川社長は、「会社のカルチャーが違いすぎる。先方(=武田薬品)がやられていることに私どもは興味がないし、先方のやられていることによって当社の戦略が変わるかと言えば、変わらない」と話した。

【17年度連結業績 (前年同期比) 18年度予想(前年同期比)】 
売上高1兆3003億1600万円(0.9%減) 1兆2780億円(1.7%減)
営業利益2132億5800万円(18.2%減) 2650億円(24.3%増)
親会社帰属純利益1646億7900万円(24.7%減) 2130億円(29.3%増)

【17年度のグローバル主要製品全世界売上高(前年同期実績) 18年度予想、億円】
イクスタンジ 2943(2521)3103
エリガード 165(159)170
ベシケア 1023(1161)969
ベタニス/ミラベトリック/ベットミガ 1257(988)1462
ハルナール/オムニック 496(477)469
プログラフ 1985(1862)1907
ファンガード/マイカミン 410(403)348

【17年度の国内主要製品売上高(前年同期実績) 18年度予想、億円】
グローバル品
イクスタンジ261(234)282
ベシケア 239(256)227
ベタニス 295(259)320
ハルナール 74(92)51
プログラフ(グラセプター含む) 483(488)463
ファンガード 106(112)78

ローカル品
ミカルディスファミリー 463(932)177
内、ミコンビ 49(94)-
内、ミカムロ 138(262)-
セレコックス 483(476)494
シムビコート 395(393)-
ボノテオ 133(138)104
ジェニナック 92(101)87
ワクチン 294(345)368
アーガメイト 58(58)53
ゴナックス 47(45)51
シムジア 90(77)98
スーグラ 116(95)133
レパーサ 16(-)-
リンゼス 14(-)92
リピトール 196(232)153
マイスリー 133(147)109
セロクエル 62(75)45
*仕切価ベース

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