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協会けんぽ静岡支部 「地域フォーミュラリ」今秋策定へ データ作成業務を日本調剤が受託

公開日時 2018/08/02 03:52

日本調剤は8月1日、地域フォーミュラリ策定に向けて協会けんぽ静岡支部の事業を受託したと発表した。フォーミュラリは、患者に対して最も有効で経済的な医薬品の推奨リスト。聖マリアンナ医科大学や昭和大学など一部の大学病院で導入されてきたが、自治体や健保組合などの保険者と基幹病院、診療所、薬局が連携し、地域内での医療費適正化と薬物治療の標準化に取り組む。協会けんぽ静岡支部は、今秋にもフォーミュラリ案をまとめる考え。保険者がフォーミュラリ策定に向けた働きかけを行うのは初めて。


フォーミュラリをめぐっては、政府の骨太方針に2015年、16年、17年、18年と4年連続で「生活習慣病治療薬の費用面も含めた適正な処方の在り方の検討」として明記された。昨年10月の経済財政諮問会議では、民間議員が後発医薬品使用促進策として、病院ごとに策定することを提案。11月の中医協総会でも聖マリアンナ医科大学のフォーミュラリが厚労省から紹介された経緯がある。実際に国内では、同医科大のほか一部医療機関において医薬品の使用指針としてフォーミュラリの導入を検討しており、いよいよ地域に拡大・浸透する機運が高まってきた。


◎標準治療を地域で推進


この背景には、高騰する薬剤費がある。協会けんぽ静岡支部でも、後発品の使用促進などに先進的に取り組んできた。ただ、後発品の数量シェア80%目標を達成しても抑制できる医療費には限りがある。一方で、高齢化が進む中で、高血圧や脂質異常症などの慢性疾患の医療費も増加傾向を続けている。こうしたなかで、標準治療を地域で推し進めることで、地域内での薬剤費の高騰をあらかじめ予測し、適正な範囲内にとどめることなども視野に入れている。


◎MR活動に変革求めるきっかけに


医療現場が地域包括ケアシステム構築へと動く中で、医薬品の適正使用も課題となっている。これまで医薬品の処方は急性期病院を軸に決められてきた。仮にフォーミュラリが地域の基幹病院に導入されると、患者が急性期から回復期、慢性期へと転床し、そして在宅での療養に移行しても、標準薬の処方はシームレスに継続することになる。医療の標準化が求められる中で、薬物療法も標準化が一層進むことになる。逆に考えると、フォーミュラリに採用されない薬剤の処方は制限されることになり、これまでの製薬企業によるMR活動も変革を求められることになりそうだ。


◎かかりつけ薬剤師の職能発揮へ


こうした中で医薬品の一元管理が求められる「かかりつけ薬局・薬剤師」によるフォーミュラリ管理が、その職能を果たすことになる。

日本調剤専務取締役の三津原庸介氏は本誌とのインタビュー(一問一答、Monthlyミクス6月号掲載、会員のみ)で、17年からスタートさせたフォーミュラリの事業について、自治体などを中心に保険者を対象とした講演会やセミナーを開催していると説明。「医療費適正化には、様々なアプローチ法があるが、フォーミュラリは即効性があると考えている」、「医薬品を中心としたソリューションを展開する中で、現場をいかに活用するか。未病・予防といった層をいかに取り込んでいくかという観点で自治体には提案している」と話していた。

日本調剤が受託するのは、協会レセプトの分析による地域フォーミュラリ策定に向けたデータ作成および医薬品実績データ作成業務。協会けんぽ静岡支部は、協会けんぽのパイロット事業のひとつとしてフォーミュラリ策定に取り組んでいるという。 

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