武田薬品OBを中心とするビジネスコミュニティActive-Tと、アステラス製薬OB有志で構成するFacebookグループのアステラスアルムナイの各メンバーによる「ヤメタケ×ヤメテラス懇親会」が4月15日、東京・日本橋で開催された。参加者は総勢78人。懇親が目的のイベントだが、参加者の多くが武田・アステラスを退職後にヘルスケア・ベンチャーの起業に携わったり、製薬周辺のビジネス創出や投資に日々奔走しているメンバーも多く見受けられ、さながら製薬ビジネスを挟んだビジネスマッチングのネットワーキング・パーティの色彩の強い印象だった。

「いろいろな目的をもって参加されている方も多いかと思います。折角これだけライフサイエンス領域で専門性の高い人材が集まっているので、広く、緩く、皆さんにとって心地よく、今日をきっかけに様々な場面につながれるような機会や関係性を作ってもらいたい」－。今回の懇親会の幹事で、アステラス製薬出身の大森啓介氏（現・みずほキャピタル）は参加者にこう呼びかけた。

続く乾杯の挨拶を行った武田薬品出身の三宅洋氏（現・Chordia Therapeutics代表取締役COO）は、「全員がライフサイエンス業界のプロフェショナル。こんなプロ専門人材が一つの場所に集まることはない。すばらしいネットワーキングの機会だと思う」と述べ、日本を代表する国内製薬企業トップの出身者が、立場を変えてお互いに交流する意義を発した。当日の参加者は、ヤメタケ31人、ヤメテラス39人、武田・アステラスの現役社員も合わせて8人参加した。

◎武田OB中心のビジネスコミュニティActive-T　退社後も別ステージで現役続行メンバー多数

武田薬品のOBを中心とするビジネスコミュニティActive-Tの会員数は179人。現職時代の経歴も様々で、研究所、生産、本社、セールス＆マーケティングなど幅広い。さらにメンバーの多くが、武田薬品を退社後も別のステージで現役として活躍していることも特徴の一つだ。ビジネス範囲も製薬企業を跨る同業他社への転職、製薬関連の周辺企業に止まらず、ヘルスケアのスタートアップや創薬ベンチャー、製造技術、人材育成・開発、さらにはアカデミア、弁護士、官僚にまで及ぶ。年2回の定期総会のほかにイベントやメルマガの発行なども行っている。

◎アステラスアルムナイ　Facebookグループが母体　メンバー層の中心は40歳代

一方のアステラス製薬OB有志で構成するアステラスアルムナイは、退職者のFacebookグループが母体となり、現在のメンバーは118人という。特徴的なのは、メンバーの年齢層の中心が40歳代だということ。30歳代のメンバーも参加するなど、一昔前の終身雇用時代とは全くかけ離れた構成になっている。さらに、メンバーの半分を研究出身者が占めているのも特徴の一つだろう。企業のOB会と言えば、在籍年数の長い定年退職者の集まりをイメージするが、アステラスアルムナイに関して言えば、若手退職者がSNSを通じてコミュニティを形成し、必要に応じてネットワーキングを行っている、“いま風”な集まりだ。

今回のイベントで記者団の取材に応じてくれたアステラス製薬出身の米良克美氏（現・WeLLBeING代表取締役CEO）は、2010年の同社退社後に、外資系コンサルを経て教育や人材育成の道に入ったことを明かしてくれた。現在は、「ウェルビーングを高める取り組みを研修や教育でサポートするプログラムを提供している。製薬に限らず企業向けや個人向けに展開している」と述べた。今回のイベントへの期待については、「製薬業界が激変する中で、皆さんの幸福感が下がっているようなことも見受けられる。こういったところで出会った方々とお話し出来れば良いと思って参加した」と語ってくれた。このほかにも米良氏は製薬ビジネスに関するFacebookの研究会を主宰するメンバーの1人として活躍しており、「いまの製薬業界をみると、昔ほどパッションの高い方が減っているように感じる。もっと元気づけたい」とも話してくれた。