中医協総会 「医療DX推進体制整備加算」の実施要件の見直し案を各側が了承 「小児科特例」の対応継続
公開日時 2025/07/24 04:51
中医協総会は7月23日、厚労省保険局医療課が示した「医療DX推進体制整備加算・在宅医療DX情報活用加算の見直し(案)」を議論し、診療側・支払側とも了承した。医療DX推進体制整備加算のマイナ保険証利用率の実績要件をめぐる経過措置が9月末で終了することを踏まえたもの。新たな実施要件は、マイナ保険証利用率を、①2025年10月から2026年2月まで、②26年3月から同年5月まで-の2つの時期に分けて設定した。また、「小児科特例」については継続するほか、電子カルテ情報共有サービスの経過措置を2026年5月31日まで延長することも決まった。保険局医療課は同日の了承を受け、通知での対応と周知を行う方針。
医療DX推進体制整備加算は、医療機関がオンライン資格確認や電子カルテ、電子処方箋などを活用する体制を整備した場合に、診療報酬に加算するというもの。2024年10月以降、マイナンバーカードの保険証利用実績などに応じて点数が変動する見直しが行われた。また、2025年10月以降の実施要件は、2025年1月29日の中医協答申書附帯意見で、「マイナ保険証利用率の更なる向上に向け、同年7月頃を目途に、マイナ保険証の利用状況、保険医療機関・保険薬局における利用促進に関する取組状況等、実態を十分に勘案した上で検討、設定する」としていたことから、この日の中医協総会に保険局医療課が必要な見直し案を提示した。
◎適応時期を2つの時期(25年10月1日~と26年3月1日~)に分けて設定
新たに設定したマイナ保険証の利用率は、適用時期が「25年10月1日~26年2月28日」の場合、「加算1・4」は60%、「加算2・5」は40%、「加算3・6」は25%となる。また、適用時期が「26年3月1日~26年5月31日」については、「加算1・4」は70%、「加算2・5」は50%、「加算3・6」は30%とした。一方、「小児科特例」は、これまでの年齢階級別の利用実績を踏まえて対応を継続するとした。
◎診療側・長島委員 電カル情報共有サービス「医療法改正が実現していない中で経過措置は妥当」
診療側の長島公之委員(日本医師会常任理事)は、「マイナ保険証の利用率が少しずつながら着実に伸びていることを踏まえ、2つの時期に分けたこと、年齢階級別の利用実績を踏まえて小児科特例が継続されることから、見直し案を了承したい」と述べた。また、電子カルテ情報共有サービスの要件については、「石川県の地域医療連携ネットワークによる情報共有が平時に加え、能登半島地震でも避難者の医療に大いに役立った」と指摘。「電子カルテ情報共有サービスにおいて、平時と有事の有用性は今後大いに期待される」と述べながらも、「モデル事業の進捗状況や本格稼働の前提となる医療法改正が実現されていない実態を見れば、経過措置の延長は妥当だ。今後も普及状況など実態を踏まえた検討が必要だ」と指摘した。
◎支払側・松本委員「マイナ保険証、電子処方箋、電カルを医療DXとして評価するのは無理が」
一方、支払側の松本真人委員(健康保険組合連合会理事)は、「医療DXに関する診療報酬上の取り扱いについては、2026年度改定に向けて、現行の取り扱いを前提とせず、しっかり議論すべきだというふうに考えている」と強調。「実態の検証を含めて、可能な限り直近のデータに基づいて議論できるよう事務局に準備を要望する」と述べた。また、「マイナ保険証の利用率、電子処方箋、電子カルテをまとめて医療DXとして評価するのは少々無理があるように感じている。医療現場の普及状況がそれぞれ異なり、体制整備が概ね完了したものもあれば、これからのものもあり、また歯科、調剤で押さえるべきポイントが違ってくる部分も当然ある」と述べ、「それぞれについて診療報酬で評価する必要があるのか、また評価するならばどのような方法があるのか、今後丁寧に議論すべきだと考えている」と述べた。