スウェーデン 薬事承認と償還についての科学的アドバイスで先導
公開日時 2010/12/03 04:00
公的保険のもとでは、医薬品の薬事承認と保険償還の可否の関係は、製薬企業、保険支払者にとって重要な問題だ。各国政府は予算緊縮化を背景に、また保険者も限られた予算のなかで費用対効果の着目したヘルスケアテクノロジーアセスメント(HTA)に注目せざるを得ないが、スウェーデン政府は、医薬品開発企業に対して、保険償還組織のTLVと医薬品庁(MPA)が共同でHTAについて科学的アドバイスを行うことを決めた。
HTAは現在、臨床試験結果がジャーナルに掲載される開発後期段階で行われることが一般的だ。しかし、スウェーデン製薬工業協会(LIF)のRichard Bergstrom専務理事は、「支払者は早めに償還すべき医薬品かどうか知りたがっているため、早く評価する必要がある」と、製薬企業に早めにHTAについてアドバイスする理由を話している。
支払者ばかりでなく、製薬企業も、政府、償還組織からの反応をいち早く入手し、双方の要求を満たす機会を最大化するためにPIII以前に情報入手を期待している。このスウェーデン・モデルが他のEU諸国でも採用しうるかが今後、注目されそうだ。フランスではすでに一定程度、薬事承認と保険償還が同一機関で実施されている。デンマークでは、保険償還は医薬品庁の内部で実施されているが、透明性に問題があると指摘されている。英国では、医薬品審査庁(MHRA)と医薬品臨床評価研究所(NICE)が2010年3月から、製薬企業にHTAについて科学的アドバイスを開始した。現段階では完全に成功しているとは言えないが、MHRAはさらに充実させたいとしている。
米国では、スウェーデンにならって、食品医薬品局(FDA)とメディケード&メディケアー・サービス庁(CMMS)が、製品のHTAについて密接に話し合う方法を模索すべきと指摘されている。
(The Pink Sheet 11月22日号より) FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから