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シャイア  ADHD市場拡大目指すも欧州で苦戦か?

公開日時 2011/05/12 04:00

シャイア・ファーマシューティカルズは、米国でADHD(注意欠陥多動性障害)治療薬市場において30億ドルビジネスのバックボーンを構築、今後、欧州市場への拡大を目指しているが、欧州ではイタリアなど国によってはADHDの疾患概念も普及していないため、前途多難が予想される。


シャイアはADHD治療薬を重点領域とし、Adderall (アンフェタミン/デキストロアンフェタミン配合剤)および後継品のAdderall XRで現在合計70億ドルの売上(累計)に達している。欧州のADHD治療薬市場は4億ドル規模で、最大の売上(2010年)を誇るのはジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)のConcerta(メチルフェニデート)でも、1億8800万ドルに過ぎない。欧州でのADHD治療薬の90%は短時間作用型メチルフェニデートの先発品および後発品だ。


シャイアは、欧州では、新規ADHD治療薬Vyvanse (lisdexamfetamine)を来年、2013年には、非精神刺激薬のIntuniv (guanfacine)を発売予定だ。米国では、Vyvanseは2010年には対前年比26%増の6億3500万ドルを売り上げた。同剤の特許は2023年まで有効、現在、ナルコレプシーおよびうつ病の臨床試験を実施中。Adderall XRも今年第1四半期もテバの後発品が発売されたにも関わらず成長を続けている。


シャイアのADHD治療薬担当グローバルヘッドのMike Yasick氏は、欧州ではADHD治療薬は売上(金額)ベースでは、2010年は6%の伸びに過ぎないが、数量ベースでは20%程度になっていると指摘、ビジネスチャンスの存在を示唆する。同氏は、世界でのADHDの有病率を5%とみており、米国と欧州のADHD市場規模の格差は診断と治療の差に由来すると分析している。欧州では小児にADHD治療薬を投与することを嫌い、欧州の規制当局はいまだADHDに覚せい剤アンフェタミンを承認していない。


米国でもアンフェタミンが主流になるには時間がかかったが、非精神刺激剤のIntunivが欧州で同社の重点薬剤になる可能性はある。


米国、欧州共に承認済みの唯一の非精神刺激剤には、イーライリリーのStrattera(アトモキセチン)があるが、必ずしも十分な業績を上げているとは言えず、2010年の欧州売上は約9000万ドルに過ぎない。同剤には、心、肝への障害、自殺念慮等安全性の問題が指摘されているが、シャイアでは、Intunivについては、そのような安全性の問題をクリアすることを目標にしており、期待が高まっている。Intunivは最近米国で承認されたが、モルガンスタンレーのアナリストは、同剤の米国以外のピーク時売上を1億5000万ドル、また、J&JのConcertaよりも長期作用型のVyvanseの米国以外のピーク時売上を3億ドルと見込んでいる。


シャイアが2009年にUCB SAから6900万ドルで獲得したメチルフェニデート製剤Equasymが同社の欧州でのプレゼンス強化への契機となったが、欧州では規制上、文化上の相違に加え、保険償還上の問題や専門医が少なく診断も困難ななど医療現場の課題もあり、シャイアの目指す道は一筋縄では行きそうにない。


(The Pink Sheet  4月25日号より)  FDAと米国製薬企業の情報満載 “The Pink Sheet”はこちらから

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