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ヤンセン 呼吸器領域に参入:R&D担当者インタビュー

公開日時 2012/06/01 04:00

米ジョンソン・エンド・ジョンソン(J&J)子会社のヤンセン・リサーチ・アンド・デベロップメント(JRD)は、重症喘息、重度COPD(慢性閉塞性肺疾患)など呼吸器疾患領域に参入する。また、JRDは、これら領域における目的薬剤の効能追加により、サルコイドーシスやIPF(特発性肺線維症)のような高度のアンメット・メディカル・ニーズに応える考えだ。


JRDは、近年、呼吸器疾患領域参入の動きを活発化させている。2007年には、肺線維症を含む適応を持った複数化合物を持つFive Prime Therapeuticsと提携。次いで2010年6月には喘息・COPDを適応とした吸入狭域キナーゼ阻害剤を持つRespiVertを買収。その後、Orexoから喘息・COPDを適応とした2件のプロジェクトを導入した。そのうち、1件の契約は2012年1月に満了、もう1件の物質RV-568 は、アレルギー性鼻炎を適応としてフェーズI、喘息およびCOPDの適応ではフェーズII試験を実施中。


このほか、市販済み薬剤では、Stelara(ustekinumab)とSimponi (golimumab) がサルコイドーシスでそれぞれフェーズII、抗CCL2 抗体のCNTO888がIPFでフェーズII試験中などが控えている。
IMSヘルスは、呼吸器疾患用薬市場は、2011年は232億ドル規模と報告している。そのうち3分の2は、抗喘息薬という。米国では740万人が喘息やCOPD治療薬の使用者だが、この市場は、症状を抑える2-3のクラスの薬剤で占められている。しかも、後発品の脅威にさらされやすい市場だ。


The Pink Sheetは、呼吸器疾患領域を担当する、免疫領域グローバルR&D担当のSue Dillon博士に呼吸器疾患領域参入の理由、目的、展望などを聞いた。


The Pink Sheet(PS):肺疾患領域はヤンセンにとって新領域だ。喘息・COPD薬は競争が定着している。同領域の何が魅力的なのか?
Sue Dillon(SD):この領域には大きなアンメット・メディカル・ニーズがあるということが魅力だ。多数の患者が多剤併用をしているが、十分に管理できていない。現在の薬剤がそこそこのベネフィットしかもたらしていない。しかも、より重要なことは、患者が十分に増悪を防げないということだ。このことは救急外来や入院を増加させ、機能の低下とコスト増を招く。競争が激しいのは事実だが、大きなアンメット・ニーズがあると信じている。

 


PS: StelaraとSimponiについてサルコイドーシスを標的に開発しているが、サルコイドーシスは肺で診断されることもあるが、肺以外で発生し、拡散する場合もある。ヤンセンではサルコイドーシスを肺疾患と見ているのか?
SD:サルコイドーシスは肉芽腫性の自己免疫疾患だ。明らかに身体の異なる組織に発現する。我々は最初に肺に焦点を絞るが、その後は皮膚のサルコイドーシスなども考えている。


PS:サルコイドーシスについては過去のレミケードの試験から何を学んだか?
SD:多数のデータが、TNF-αが肉芽腫を維持するための重要なドライバーであることを示唆した。同剤が肺機能を改善する効果を見たが、それは強くはなかった。


PS:末期のサルコイドーシスはIPFに進展する可能性がある。このことは呼吸器専門医に説明する際に営業的シナジーを生むことを示唆している。従って、同じような病態生理学的背景を持つ他の線維症について研究する足がかりとしてIPFを使えるか?
SD:線維症の進展プロセスを発見できればIPF以外の適応も考えられる。我々が関心を持つ疾患には、糖尿病性腎症、肝線維症、心臓線維症などがある。しかし、それらには時期尚早で、まず、IPFのPOC(プルーフ・オブ・コンセプト)を追究することだ。


PS:呼吸器疾患用薬のパイプラインでは、公表されているものには、高分子が多いようだ。喘息・COPDのように患者集団が大きい場合には、経口剤が適している。なぜ高分子を重視しているのか?
SD:我々のパイプラインでは高分子と低分子はほぼ均等に配分されている。早期開発中のものには、RespiVertからの吸入用低分子の薬剤があるが、これは、この分野で重要な役割を果たすと思われる。ポートフォリオのなかで、高分子はある程度は、歴史的に我々が研究してきた自己免疫疾患の炎症パスウェイに焦点を絞っていたことを反映したものだ。これら疾患で活動しているサイトカインパスウェイを理解するために多額の投資を行ってきた。そして、我々が肺疾患で利点を持つと思われる一定の分子を選択するために免疫系でのポートフォリオを活用してきた。歴史的に我々の強みは高分子であり、それがポートフォリオで反映されているのだと思う。


PS:喘息やCOPDは主にPCP(プライマリーケア医)の治療対象だ。これら市場へ高分子薬の値付けや保険支払者へのポジショニングはどうか?
SD:我々が試験を行っている患者集団は、コントロール不能な患者なので、PCPが治療する患者とは異なる。これら患者は専門医が治療する。最初に述べたように、疾患スペクトラムにおいて、重症でのPOCを追究している。


PS:それでは、重症患者を適切に見極めることが重要だ。
SD:分子のプロファイリングへのアプローチと適正な患者を見極めることには補完性がある。我々のポジションは、肺疾患市場に抗体と同時に診断薬を持ち込み、医師と患者に適切に治療対象患者を知らせることだ。モデルはXolairとなる。同剤は血清IgEを測定する診断薬と一緒に上市された喘息を適応とした唯一の承認済みの抗体だ。我々は、他の抗体でも同様のパラダイムを形成したいと考えている。
 


The Pink Sheet  5月14日号

 

 

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