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J&J・リーガー新社長 新たな成長フェーズに「2030年に全疾患領域トップシェア」 薬価の予見性に懸念

公開日時 2025/11/12 04:50
Johnson & Johnson Innovative Medicine(法人名:ヤンセンファーマ)のクリス・リーガー代表取締役社長は11月11日、就任後初の記者会見に臨み、「日本国内で、2030年までに我々が参入している全ての疾患領域でシェアナンバーワンを目指していきたい」と意欲をみせた。オンコロジーと免疫疾患を主要疾患領域に据えた新たな戦略の下、28年には2桁成長するなど、「新しい成功のサイクルに入っている」と自信をみせた。一方で、日本でのビジネスを継続する観点から、薬価収載時の新規モダリティの評価に問題意識を示し、「価値に基づいた薬価算定を新薬に導入していかなければならない」とも述べた。

◎26年はビジネスインパクトを加速する「転換期」 28年に2桁成長へ

「未来は非常に明るい」―。リーガー社長は胸を張る。25年にはステラーラが新薬創出等加算の累積額控除を受け、業績にも大きく影響を与えたが、今年に入り、7月にバルバーサ錠、8月にタービー皮下注を発売するなど5製品を発売し、14の適応拡大を行った。26年にも新薬の上市を見込み、「いまは我々のビジネスのインパクトを加速する転換期だ。28年には2桁成長に戻り、それを30年まで持続していきたい」と強調する。「多発性骨髄腫、肺がん、膀胱がん、IBD、乾癬すべてで、リーダーシップを維持していきたい」とも話した。

◎オンコロジーや免疫疾患に主要疾患領域をシフト 新たなモダリティ導入で

成長軌道を描く中で、カギを握るのが「新たなモダリティの導入」という。「新たなモダリティの導入で、劇的なポートフォリオの変革をもたらすことができる」と強調。オンコロジーや免疫領域へと主要疾患領域をシフトさせる考えを明らかにした。これらの領域では、「アンメットニーズが高く、治療にブレークスルーを起こすサインが多く出ている」と説明した。

特に、「我々は多発性骨髄腫の領域を現在リードしており、引き続き、これを高めていく」と語った。ダラキューロを中心として、今年3月に二重特異性抗体・テクベイリ、6月にタービーを発売した。リーガー社長は2剤について、「アンメットニーズが高いため、多発性骨髄腫の領域で非常に受け入れられている」と自信をみせた。開発を進めるCAR-T療法であるCARVYKTI(海外製品名)などの上市にも期待を寄せた。また、乾癬領域では新規経口ペプチドとして開発を進めるイコトロキンラに期待を寄せた。

◎デジタル活用でGTM戦略を最適化

製品の導入に向けて、「MRや現場の責任を拡大し、ケイパビリティを開発していきたい」との姿勢も表明。「デジタルトランスフォーメーションも活用し、“Go To Market”のモデルをコミュニティにとって一番良いものにしていく」考えも示した。

◎新規モダリティの薬価「真の価値を評価する制度に変えていかなければならない」

そのうえで、こうした革新的新薬の上市に際した環境整備が重要として、「イノベーションが加速する中で、日本が取り残されてはならない。日本はもう一度、政策を考え直す機会が訪れている」と強調した。

特に、薬価収載時の新規モダリティに対する評価に課題認識を表明した。CAR-T細胞療法や二重特異性抗体を例にあげ、これらの革新的新薬が生み出されるスピードが速くなっているなかで、「日本の制度は、イノベーションのスピードに追い付いていない」と強調。新規モダリティの薬価算定に際して臨床上の有用性が十分に評価されていないとして、「価値に基づいた薬価算定を新薬に導入していかなければならない」との考えを示した。また、特許期間中の薬価を維持する必要性にも言及。「予測可能で、安定した薬価であれば、日本のエコシステムに新薬を導入することが可能になる」ことも強調した。

革新的新薬の導入がひいては、患者の健康に貢献するだけでなく、日本経済にも貢献するとの考えも表明。「新規モダリティによる社会的コストの削減、さらに雇用を生み出すことができるなどの経済効果をもたらすことができる」と説明。「新規モダリティは単に医療費だけではなく、真の価値を評価する制度に変えていかなければならない」と熱く語った。

リーガー社長は今年、6月に社長に就任。自身のキャリアをアメリカでMRとしてスタートしたことを紹介。アメリカやアジア市場で医薬品や医療機器事業などを担当してきた経験を踏まえ、「幅広い経験を生かし、グローバルな視点をもたらしたい」と語った。
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