薬食審・第一部会 統合失調症治療薬クロザピンが通過
公開日時 2009/03/01 23:00
厚生労働省の薬食審・医薬品第一部会は2月27日、ノバルティスファーマの統
合失調症治療薬クロザリル(一般名:クロザピン)や日本ベーリンガーインゲ
ルハイムの降圧剤ミコンビ(テルミサルタン/ヒドロクロロチアジド)などの
承認を了承した。クロザリルについては、類薬がないことから3月下旬に開催
予定の薬事分科会で改めて審議することとなった。
クロザリルは、治療抵抗性統合失調症を効能・効果としており、他剤で効果が
なくなった場合に使われる「最後の薬剤」との位置づけ。臨床現場からのニー
ズも高かったという。1969年にオーストリアで承認されたが、75年にフィンラ
ンドにおいて発売後6ヵ月間で無顆粒球症の副作用16例(うち死亡8例)が報
告され世界的に販売中止になった経緯がある。その後、無顆粒球症を早期発見
するための患者モニタリングシステムを導入、治療抵抗性の患者に限定し97ヵ
国で承認されている。安全対策として、患者モニタリングシステムを講じてい
るのは承認国のうち4ヵ国(英国、米国、カナダ、オーストラリア)。
日本ではノバルティスファーマが96年から治験をスタート。国内でも患者モニ
タリンスシステムの実施が可能として申請した。副作用には無顆粒球症のほか
に高血糖も知られているため、同システムでは投与するたびに白血球数や好中
球数、血糖値を検査し投薬していく。このようなシステムはサリドマイドに次
いで2番目となる。患者数は統合失調症患者の約9%にあたる約1万8000人。
ミコンビはARBミカルディス(テルミサルタン)と利尿剤ヒドロクロロチアジ
ドの配合剤で4番目となる。すでに世界92ヵ国で承認されているという。グラ
クソ・スミスクラインの抗アレルギー剤アラミスト(フルチカゾンフランカル
ボン酸エステル)は、フルナーゼ(GSK)の持続性を向上させた薬剤。フルナ
ーゼは1日2回を投与する必要があるが、アラミストは1日1回で済むのが特
徴。ヤンセンファーマの統合失調症治療薬リスパダールコンスタ(リスペリド
ン)は、マイクロスフィアという微粒子にリスパダールを注入し徐放化した。
臀部に筋注することで効果が2週間持続する。十分な血中濃度に達するには数
日かかるため、既存薬と組み合わせて使用することとしている。サノフィ・ア
ベンティスのインスリン製剤アピドラ注カート(インスリングルリジン遺伝子
組換え)は超速攻型インスリン製剤で、世界50ヵ国で承認されている。
またテバファーマスーテカルズのグラチラマー酢酸塩(一般名)を希少疾病用
医薬品に指定することを了承した。予定される効能・効果は「再発寛解型多発
性硬化症における再発頻度の軽減」。患者数は約1万2000人(04年)。