FDA 統合失調症・双極性障害治療薬のアセナピンを承認
公開日時 2009/08/18 04:00
FDAは14日、シェリング・プラウが開発する統合失調症・双極性障害治療薬アセナピン(商品名=Saphris)を承認した。同剤の適応は、「成人における統合失調症および双極Ⅰ型障害に伴う躁病または混合エピソードの急性期治療」。双極Ⅰ型障害とは、躁状態と抑うつ状態をくり返す病態。この2つの適応症を持って承認される薬剤は初めてという。
同剤の承認は、統合失調症患者の3試験、双極性障害に対する2試験のプラセボ対照比較試験に基づくもの。3000人以上の患者に対して有効性を確認しているという。
安全性についても、治験後追跡調査した症例も含め、約4500人のデータがある。治験では、統合失調症で静座不能、口内感覚麻痺、眠気。双極性障害では、眠気、めまいなどが有害事象として報告されている。
なお、FDAは、精神病に関連した老人性痴呆の人に、このクラスの薬剤を行動障害の治療に適応外使用すると、薬剤に関連して死亡リスクが上昇することを指摘している。そのため、“boxed warning”(枠で囲まれた警告)で、このような患者に使用しないよう強く求めている。
シェリング・プラウはミクス誌の取材に対し、統合失調症患者や双極性障害患者の治療に際しては、「薬剤を変えて病態に合う薬剤を選択するケースが多い」と説明。「(2つの適応を持つことで)、薬剤を処方する医師にとって利便性が高い」としている。
同社は今後、2009年第4四半期の販売を目指すとしている。日本での開発については「現在、開発準備中」(同社広報部)としている。