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DES留置後のアスピリン+クロピドグレルの長期成績 併用療法はアスピリン単剤に比べて心筋梗塞や心血管死を減少させない

公開日時 2010/03/17 06:00

薬剤溶出性ステント(DES)留置後の患者に対するアスピリン+クロピドグレルの2剤併用療法の1年以降の長期成績が明らかになった。2剤併用療法は、アスピリン単剤投与に比べ、心筋梗塞や心血管死を減少させないことが分かった。DES留置後12カ月間は2剤併用が推奨されているだけに、2剤併用を行う最適な期間はいつまでなのか、今後議論となりそうだ。第59回米国心臓学会議(ACC.10)で3月15日のLate-Breaking Clinical Trialsで、Ulsan College of MedicineのSeung-Jung Park教授が試験結果を報告する中で明らかにした。(3月15日 米国・アトランタ発 望月英梨)


DES留置後早い段階で、アスピリン+クロピドグレルの併用をやめると、遅発性ステント血栓症を発症するリスクが高い。そのため、出血のリスクが高くないDES留置患者に対しては、少なくとも12カ月間2剤併用が推奨されている。一方で、DES留置後12カ月以降の有用性と安全性はこれまで明確になっていなかった。


今回の解析は、DESを用いて初めてPCIを行った患者に対し、アスピリン+クロピドグレルの2剤併用を12カ月間以降行った長期成績を検討するのが目的。「REAL-LATE」試験と「ZEST-LATE」試験の2つのランダム化比較試験(RCT)を統合して解析(pooled analysis)を行った。


対象は、アスピリン又はアスピリン+クロピドグレルをDES留置後12カ月間投与し、その間▽重大な心血管又は脳血管の有害事象がない▽重大な出血がない――DES留置後の患者2701人。


DES留置後12カ月以降に▽2剤併用療法を継続した患者(低用量アスピリン100~200mg/日+クロピドグレル75mg/日)1357人▽クロピドグレルの投与を打ち切った患者(低用量アスピリン単独群)1344人――の2群にオープンラベルで割り付け、治療効果を比較した。主要評価項目は、複合心血管イベント(心筋梗塞、心血管死)の発症率。追跡期間(中央値)は19.2カ月。


その結果、主要評価項目の累積発症率は、2年後にアスピリン群で1.2%、アスピリン+クロピドグレル群で1.8%で、半年を過ぎたころから2群間で差が開き、有意差はないもののアスピリン群で少ない結果となった(ハザード比:1.65(95%CI:0.80~3.36)、P値=0.17)。心筋梗塞、脳卒中、ステント血栓症、再環流が再度必要な割合、重大な出血、総死亡について両群間に有意差はみられなかった。一方で、アスピリン+クロピドグレル群は、アスピリン群に比べ、▽心筋梗塞、脳卒中、総死亡▽脳卒中、心血管死――の発症をみた2つの複合エンドポイントについて、有意なリスク上昇もみられなかった。


結果を報告したPark教授は、「2剤併用を12カ月間以上延長しても、アスピリン単独投与と比べ、心筋梗塞、心血管死を抑制効果に有意差はみられなかった」と結論付けた。その上で、「この試験は、12カ月以降のクロピドグレルの投与をやめることの安全性を確固たる結論とするために、十分な統計学的なパワーがない」と指摘。「この問題を解決するために、さらなる大規模臨床試験の実施が必要」との見解を示した。


なお、同試験の結果は同日付の「The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE」オンライン版に掲載された。

 
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