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日本総研 OTC類似薬見直しの財政削減効果1兆円は、何故900億円まで縮んだのか 検証レポート公開

公開日時 2026/07/30 04:52
日本総研・未来社会価値研究所は7月28日、「OTC類似薬の保険給付見直しに関する議論の経緯と論点」と題するレポートを公表した。自公維新は25年6月の3党合意でOTC類似薬見直しにより当初1兆円規模の財政削減効果を見込んだ。しかし、5月29日に成立した改正健保法は、削減効果が約900億円規模と小幅にどまるなど、政策目標に財政ギャップを生じさせた。レポートでは財政ギャップの背景を探る目的で社保審医療保険部会での議論の経緯を検証。その結果、「保険料負担軽減」を主張すべき若年低所得層・就職氷河期世代が不在だったことに加え、唯一の外部団体ヒアリングも、対象の患者4団体がいずれも保険適用除外に懸念を示す立場に偏っていたと指摘。当初の政策目的である医療保険財政の持続可能性確保との関係が明示的に検証されないまま議論が進んだことで、財政削減効果にギャップを生じさせたと分析した。

◎入口段階では「OTC類似薬の保険給付の在り方をどのように考えるか」が論点だった

自民・公明・維新が3党合意(25年6月11日)したOTC類似薬の見直しをめぐる議論は、25年6月~12月まで社保審医療保険部会で行われた。日本総研が公開したレポートによると、医療保険部会の議論における入口段階では、「OTC類似薬の保険給付の在り方をどのように考えるか」という論点が設定され、保険適用からの完全除外を含む幅広い選択肢の検討が想定されていた。しかし、医療費をめぐり医療保険部会の支払側委員(保険者・事業主・労働者・地方自治体・被保険者)が「財政負担軽減の観点から保険適用除外」と主張したのに対し、医療提供者側委員が、「保険適用の維持」と反論するなど、利害対立が顕在化した。

◎患者4団体のヒアリング「保険給付からの完全除外」を拒否 その後の議論に影響

一方で患者4団体を招聘したヒアリング(25年11月20日)では、いずれの団体とも、「保険給付からの完全除外は経済的理由による治療断念につながる」との強い懸念が示される。結果的に、このヒアリングを契機に、「保険給付の対象から外さない」ことが前提として共有されるに至ったと報告した。医療保険部会のその後の議論は、結果的に「保険給付を維持したうえで、いかなる形で別途負担を求めるか」という限定された範囲に収斂したとレポートは分析している。

◎「医療保険財政の持続可能性確保」に照らした十分な検証を経ずに選択肢が絞り込まれた

レポートはこうした議論の経緯について、「当初想定されていた財政削減効果(約 1 兆円)と、最終的に成立した制度設計による削減効果(約900 億円規模)との間に大きなギャップが生じており、当初の政策目的である“医療保険財政の持続可能性確保”に照らした十分な検証を経ないまま選択肢が絞り込まれた可能性がある」と厳しく指摘している。

◎若年低所得層や就職氷河期世代に「意見表明する機会がない」公益委員が指摘

その上で、医療保険部会での委員構成に偏りがあるとも指摘。直接影響を受ける当事者層の代表性が不足している点も重要な課題だとし、とりわけ社会保険料負担が相対的に重い若年低所得層や就職氷河期世代については、公益委員から「意見を表明する機会がなく、議論に十分参加できていない」などの指摘があがっていたことを強調した。また、外部団体ヒアリングにおける立場の偏りにも触れ、招聘した患者4団体がいずれも保険適用除外に対して懸念を示す立場の団体であったことを指摘。対象団体の選定は事務局(厚生労働省)が行ったとしながら、「選択肢の幅を実質的に限定する影響を与えた可能性がある」と批判した。

このほかに「論点設定に関する特徴」として、論点設定および資料準備は事務局(厚生労働省)に集中しており、委員は事務局が設定した議事に対しコメントを述べる流れとなっていると強調。先述の外部団体ヒアリング以降は、「保険給付の対象から外さない」ことが前提として共有され、それ以降の議論は、「保険給付を維持したうえで、いかなる形で別途負担を求めるか」という限定された範囲で進める流れができあがってきたと分析した。さらに、議論におけるエビデンス活用の不十分さにも触れている。

◎「医療分野に限らず他の多くの審議会においても共通して見られる可能性がある」

レポートでは解決策の方向性について、委員構成の多様性の確保を求めたほか、制度変更で影響を受ける層の参加機会の確保を求めた。さらに、ヒアリング対象選定についても多様性の確保を事務局に対して要請。論点整理段階での選択肢の確保と透明性の向上、エビデンスに基づく議論プロセスの確立を提言した。このほかにも、「本稿で取り上げた特徴は、医療分野に限らず、他の多くの審議会においても共通して見られる可能性がある」とも強調した。

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