エビデンスと、エビデンスに基づく医療
公開日時 2010/05/30 00:00
独立行政法人国立病院機構東京医療センター臨床研究センター臨床疫学研究室長尾藤誠司◎エビデンスのヒエラルキー本シリーズでは、EBMのステップの中でも、特に医学文献の批判的吟味を中心に解説してきました。以前の稿でもご紹介したように、臨床研究の根拠の質は研究のデザインによってヒエラルキー構造となっています(図1)。すなわち、ランダム化比較試験(RCT)によって得られたエビデンスは最高であり、その次にランダム化のない比較介入研究、その次が前向きコホート研究、後ろ向きコホート研究・症例対照研究、比較群のないケースシリーズ研究という差別社会が医学文献にはあるのです。その格付けは、確かにおおむね正しいのですが、あまりにも短絡的に「ランダム化比較試験=信じるべき」という図式がまかり通りすぎてしまっている状況...