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DPP-4阻害薬アログリプチン 心血管イベント発生リスク上昇せず

公開日時 2010/06/29 04:00

DPP-4阻害薬のアログリプチンの投与による心血管イベントの発生リスクが上昇しないことが分かった。フェーズ2、フェーズ3を合わせた9試験を統合して解析した(pooled analysis)結果から分かった。第70回米国糖尿病学会議(ADA)のPresidents Poster Sessionで米国FarmingtonのCalhoun Cardiology CenterのWilliam B.White氏らが6月27日、報告した。(6月27日 米国・オーランド発 望月 英梨)


チアゾリジン系薬剤のロシグリタゾン投与と心血管イベント上昇との関連性が指摘されたことを受け、FDAは糖尿病治療薬の新薬承認に際して、心血管イベントの発生リスクを検討することを求めている。同剤の開発を進める武田薬品は、昨年6月にFDAから心血管リスク評価に関する追加試験の実施を求められていた。


この解析は、アログリプチン投与群の心血管イベント発生率を検討することを目的に実施された。心血管イベントの判定は、どちらのグループに割り付けたか盲検下した上で、独立した専門委員が行った。


対象は、フェーズ2の1試験と、フェーズ3の8試験に組み込まれた3893人。対象者は、主に白人で、平均55歳、平均BMIは32kg/㎡、平均HbA1cは8%で、約半数がRA系阻害薬(ACE阻害薬またはARB)を服用していた。主要評価項目は心血管イベントの発生率。心血管イベントは、大血管障害(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)と非大血管障害(虚血性のエビデンスがない貧血、静脈血栓塞栓症、周辺静脈血栓/塞栓、うっ血性心不全、不安定狭心症、冠血行再建術、一過性脳虚血発作、脳血行再建術)とした。


◎イベントリスクの高い患者でもリスク上昇みられず


その結果、心血管イベントはアログリプチン群で0.28%(11例)、プラセボ群の0.50%(8例)で、有意差はみられなかった(ハザード比:0.61[95%CI:0.24~1.56])。内訳をみると、フェーズ2試験では0例、アログリプチン12.5mg投与では5例(0.31%)、25mg投与では6例(0.28%)だった。心血管死は、プラセボ、アログリプチン25mg投与群にそれぞれ1例ずつ報告されている。


心血管イベントは、患者のリスクファクターに影響を受けることから、心血管イベントの既往や高血圧、喫煙などに重みづけをして解析すると、プラセボ群で0.60%(5例)、アログリプチン投与群で0.49%(9例)で両群間に有意差はみられなかった。また、心血管関連の有害事象についても、プラセボ群1.4%、アログリプチン1.5%で、両群間に有意差はみられなかった。


◎「アログリプチンと心血管イベントの上昇には何ら関連性みられない」White氏ら


White氏らは、これらの結果を踏まえ「2型糖尿病患者において、アログリプチン投与により心血管イベントを上昇させるエビデンスはない」と指摘。特に、フェーズ3に登録される糖尿病患者では、それだけで心血管イベントのリスクが高いが、このような患者であってもリスクの上昇はみられなかったとした。その上で、「アログリプチンと心血管イベントの上昇には何ら関連性がみられない」と結論付けた。


White氏らは、アログリプチンの心血管イベントに関する安全性を検討する試験を継続していることも明らかにした。対象は、ランダム化の15~90日前に急性心筋梗塞(ACS)を発症した2型糖尿病患者約5400人。標準療法にアログリプチン、またはプラセボを上乗せし、4.75年追跡する。主要評価項目は、複合心血管イベント(心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)を据えた。試験デザインは、非劣性とともに優位性まで検討できるものとなっているという。 

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