沢井製薬の澤井社長 バイオシミラー参入「避けて通れない」 提携も視野
公開日時 2010/06/30 04:00
沢井製薬の沢井光郎社長は6月29日、都内で行った経営戦略説明会で、ジェネリック(GE)業界で次なる収益源と目されるバイオシミラーの参入について、日本での製品受け入れ環境を見極める必要があるとして「慎重に対応したい」と述べた上で「避けて通ることができない」との認識も示し、参入に前向きな姿勢を見せた。開発費が低分子化合物のジェネリックの数十倍の50~100億円程度かかることから、他の企業との提携なども視野にあることを明らかにした。
2010年問題でブロックバスターの特許切れが相次ぎ、当面、GEメーカーの収益源となる。しかし、そのあとの新薬は低分子化合物を中心に枯渇しており、GEメーカーも収益源が細ることになる。この中で伸ばしている新薬がバイオ製品であり、その特許切れ後、バイオシミラー(バイオ後続品)がGE業界の新たな収益源と目されている。しかし、開発・製造費用が非常に高く、参入のハードルも高い。
これまで沢井製薬はバイオシミラーへの参入方針は明確にしていない。理由として澤井社長は、現行のGEがまだ医療現場に十分に浸透しておらず「いかに売る体制にもっていくか結論が出ていないため」とし、「慎重に対応したい」と述べた。しかし、バイオシミラーを手がけないと先細りになることも認識しており、説明会では、参入の必要性とともに、提携も視野にあることを認めた。同席した澤井弘行会長は、提携について、日本での沢井の主導権のほか生産や品質管理を国内で実施し、薬事のノウハウを生かせる形が望ましいとの考えを示した。