「日本人投薬量で効果がない場合、海外投薬量にする」 医師の22%実施
公開日時 2010/08/10 04:02
医師の会員制コミュニティサイト「MedPeer」を運営するメドピアは8月9日、日本人投薬量で効果不十分の場合、海外投薬量を目安に増量するかどうかを聞いた調査結果を発表した。「日本人投薬量のみにする」との回答が71.4%と最も多かったものの、次いで「日本人投薬量で効果がない場合、海外の投薬量にする」が22.3%となった。この22%の医師からは、「生命予後に直結する緊急の場合」に増量するとのコメントのほか、解熱鎮痛薬や抗菌薬など特定の薬剤を挙げて増量するとの回答が寄せられた。MedPeerの現在の会員数は約3万人。
同調査は7月14日~27日に実施した。有効回答数は1524件。方法はインターネット。
その結果、「日本人投薬量で効果がない場合、海外の投薬量にする」と回答した医師は339件。具体的なコメントを見ると、「生命予後に直結する緊急の場合は、海外での投薬量にすることが多い」(40代、一般内科)とのほか、「慢性疼痛に対するNSAIDsやアセトアミノフェンなど、明らかに日本の用量設定が少ない場合は迷わずハイドーズで使用することもある」(30代、一般内科)、「アセトアミノフェンに限って海外用量にしている。市販薬と同量を処方したところで、解熱鎮痛効果が得られるとは考えづらい」(30代、一般内科)、「リウマチに対してMTXを使用しているが、日本の保険適応内の用量では効果不十分の症例が多く、海外での用量に準じて使用している」(40代、一般内科)、「慢性疼痛に対する鎮痛薬などは国内投与量では効果がない場合が多く、増量することも視野に入れている」(50代、一般内科)――と鎮痛の面で海外用量を目安にしているとの回答が目立った。
「抗菌薬の場合、効果がなければ海外で認定されている量まで増量する」(30代、一般内科)、「抗菌薬については時々増量する。最初から日本でいう重症量で開始することがある。中途半端な薬量はむしろ耐性化という害にしかならない」(30代、一般内科)と抗菌薬に関するコメントもあった。
一方、日本人投薬量のみとの回答は1087件で、「保険適応内で処方している」「有害事象が発生すると問題になるので、添付文書に従う」「副作用が心配」などのコメントが目立った。ただ、効果が不十分な場合は、「他剤に変更する」「多剤併用する」とのコメントもあった。
◎海外投薬量を目安に増量 若い医師に多く
また、「日本人投薬量のみにする」と「日本人投薬量で効果がない場合、海外の投薬量にする」との回答を年代別にみると、39歳以下の医師では2対1、40歳以上の医師では4対1――の割合で回答しており、若い医師ほど海外投薬量を目安に増量する傾向がうかがえた。