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【ESMOリポート】T-DM1 複数の前治療歴あるHER2陽性転移性乳がんで優れた客観的奏効率示す

公開日時 2010/10/13 06:02

前治療歴の多いHER2陽性転移性乳がんにおいて、抗体薬物複合体(ADC)のトラスツズマブ-DM1(T-DM1)を検討した第II相試験の結果、優れた客観的奏効率と無増悪生存を示すことがわかった。ESMO学会のプロファード・ペイパー・セッションで10日、米Dana Farberがん研究所のIan Krop氏が報告した。


T-DM1は、HER2を標的とするトラスツズマブと抗微小管剤のDM1とを結合させたADC。同試験では、アントラサイクリン系、タキサン系療法、カペシタビン、トラスツズマブ、ラパチニブの前治療歴があるHER2陽性転移性乳がん患者110人を対象に、T-DM1を3週間ごとに静注した(3.6mg/kg)。患者は全員、転移後2種類以上のHER2標的薬を受けており、また最後の投薬後に進行していた。


主要評価項目は、独立した調査施設(IRF)による客観的奏効率(ORR)とし、副次評価項目は無増悪生存期間(PFS)と、奏効期間(DoR)、臨床的有効率(CBR)と設定。臨床的有効とは、客観的奏効もしくは疾患安定(SD)が最低6ヶ月間維持された状況と定義した。追跡期間中間値は、17.4ヶ月。


年齢52.5歳、転移診断からの期間42.1ヶ月(どちらも中間値)、73.6%が3ヶ所以上転移しており、転移部位は肺が62.7%、骨51.8%、肝臓44.5%などであった。転移疾患に対する前治療薬剤の数は7種類、全乳がん過程では8.5種類(どちらも中間値)、5種類全ての治療を受けた割合は99.1%に上った。治療サイクルは7.0で、暴露期間は19.3週間、平均投与量は3.56mg/kgとなった(全て中間値)。


被験者の83.6%が試験カットオフ時までに治療を中止しており、その主な原因は疾患進行(69.1%)であった。重篤な有害事象の発生率は25.5%で、グレード3以上で47.3%。心血管系に対するグレード3以上の有害事象はゼロ、有害事象を原因とする死亡率は2.7%、有害事象を理由に治療を中止した割合は6.4%であった。


主な有害事象は疲労が最も多く61.8%、続いて吐気37.3%、血小板減少症32.7%、AST上昇26.4%、便秘23.6%などがあったが、殆どがグレード1か2であった。重篤な有害事象は、蜂巣炎3.6%、発熱2.7%、肺炎2.7%など。
治療の結果、主要評価項目は34.5%(95%CI:26.1-43.9)となり、SDは44.5%、CBRは48.2%(95%CI:38.8-57.9)に至った。またレトロスペクティブにHER2陽性が確認された患者でのORRは41.3%、CBRは55%に上った。PFS中間値は6.9ヶ月(95%CI:4.2-8.4)であった。


これらの結果からKrop氏は、複数の前治療歴があるHER2陽性転移性乳がん患者において、単剤のT-DM1が確固たる抗腫瘍活動を示すとともに、忍容性も高いことが確認できたとした上で、これらの患者において、HER2が依然として適切な標的であることも立証したと結論した。


 

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