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日医・松本会長 財政審を批判「医療界の分断を招く」開業医の高給与水準は「恣意的にイメージ先行」

公開日時 2025/11/13 04:55
日本医師会の松本吉郎会長は11月12日の定例会見で、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の議論について、2026年度診療報酬改定で「診療所の適正化を行うためのストーリーに基づく資料と議論であり、医療界の中での分断を招こうとしている」と批判した。特に、開業医の給与水準の高さを示すデータについては、「現在の苦しい医療機関経営の実態を全く示していない」と憤慨。「恣意的にイメージを先行させようとする意図がうかがえる」と強く批判した。そのうえで、改めて、「財源を純粋に真水とする対応が絶対に必要であり、次の改定までの2年間をしっかりと見た改定水準が必要だ」と訴えた。

松本会長は、「病院、診療所とともに、医療機関は地域を一体となって支えており、両方とも地域にとって必要不可欠なものだ」と強調。「財政審は、高齢者と若者、病気の方と健康な方、病院と診療所など様々な二項対立で分断をあおっており、それが社会の不安定につながっている。社会格差と健康格差を生まないような社会にしていかなければならない」と財政審の議論を批判した。

◎医療機関における管理者と勤務医は「役割が全く違う」

診療所の院長(開業医)の給与について財務省は財政審に平均値が2653万円とのデータを示しているが、中央値は2160万円、最頻値は1000~1500万円と説明。「分布に隔たりがあることを踏まえ、実態を正確に把握するためには、平均値ではなく中央値と最頻値を重視すべき」と述べた。

松本会長は、「院長は診療だけではなくて、経営上の全責任を負っており、仮に経営が困窮した場合には連帯保証人として個人財産を投入してでも返済に対応する責任がある。特に小規模の医療機関では、院長は診療のみならず、医療安全の確保から人材の確保、そして人事・労務、福利厚生、広報、設備の修繕・更新に至るまで、院内のあらゆることに対応している」と説明。院長は診療以外の仕事も多く、「医療機関における管理者と勤務医では、役割が全然違う」と強調し、直接比較すること自体を批判した。

◎個人経営は規模的に零細 医療法人の比較は「全く不適切」、「著しく誤解招く」

財政審では、個人立診療所の院長の給与が3200万円と医療法人(2700万円)よりも高額とのデータも示されているが、「個人経営は医療法人とは全く中身が違う。この中から所得税の支払いや仕入れの返済を行い、建物や医療機器等の固定資産の更新等を行う必要が出てくる。医療法人の院長給与と比較することは全く不適切だ」と説明した。この点について財政審の資料にも「注釈として小さく小さく書かれている」として、「一般に医療法人化せずに個人のまま経営している診療所は、医療法人よりも規模的に零細であり、このような資料の出し方は著しく誤解を招く」と糾弾した。

◎「苦しい医療機関の実態全く示していない」 “今はなき”新型コロナ補助金も

データ自体も22年度のもので、「インフレにより経営が苦しくなる以前の診療報酬改定前のものであり、医療機関が不眠不休で立ち向かった、今はなき、新型コロナウイルス感染症関連の補助金が含まれるなど、現在の苦しい医療機関経営の実態を全く示していない」と指摘。「医療経済実態調査を踏まえて、改めて判断すべきものだが、恣意的にイメージを先行させようとする意図がうかがえる」と強調した。そのうえで、無床診療所の経常利益率は2.5%(中央値)で最頻値が0~1%。決算月が直近になればなるほどインフレ等により利益率が低くなっているとして、危機感を露わにした。

◎利益剰余金「必ずしも現金で積み上がっているわけではない」

診療所の利益剰余金が高水準との財務省の主張にも再反論。「利益剰余金の多くは、建物や医療機器等の設備投資に充てており、必ずしも現金で積み上がっているわけではない。さらに高額な修繕等にも当てられる」と述べた。

そのうえで、「仮に売上が1億であれば、その利益は 250万円、年間1.5億円であれば 375万円だ。これが高い利益と言えるのか。その中で高額な医療機器等の設備投資を行っていかなければならない」と改めて強調した。診療所を開業するのには「最低1億円かかる」と説明。医療機器も数千万円単位でかかるほか、修繕費や維持費など、多額のコストがかかるとして、「このままでは閉院する医療機関も増え、地域の医療の崩壊を招く。財源を純粋に真水とする対応が絶対に必要であり、次の改定までの 2 年間をしっかりと見た、対応をしていただく改定水準が必要だ」と強調した。

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