厚生労働省は12月4日、2025年12月の後発品の薬価基準追補収載を官報告示した。5日に収載する。初めて収載される後発品(以下、初後発品)は6成分51品目。この中にフォシーガの後発品があり、沢井製薬とT‘sファーマの2社4品目が収載される一方、ニプロのフォシーガのオーソライズド・ジェネリック(AG)は収載されない。厚労省によると、ニプロから同AGの薬価収載希望が出ていなかった。エフィエントの後発品も第一三共エスファと東和薬品の2社8品目が収載されるが、厚労省によると全8品目がAGだという。1成分で2社からAGが登場することは初とみられる。バイエルグループのアイリーアのバイオAGも今回収載される。
文末の「関連ファイル」に、25年12月追補収載の初後発6成分の一覧表などを掲載しました(会員のみダウンロードできます。無料トライアルはこちら)。
◎フォシーガ後発品 5mg錠と10mg錠収載 沢井のOD錠は収載希望取り下げ
フォシーガ(一般名:ダパグリフロジンプロプレングリコール水和物、アストラゼネカ/小野薬品)の後発品は、沢井製薬、武田テバファーマ(現T‘sファーマ)、ニプロが8月15日付で承認を取得した。ニプロは、承認を取得した後発品はAGだと発表している。3社とも5mg錠、10mg錠の2規格の承認を取得し、沢井製薬は先発品にはないOD錠の承認も取得した。
今回の12月追補収載では、沢井製薬とT‘sファーマの5mg錠及び10mg錠の2規格4品目が収載される。厚労省担当官によると、今回収載されない沢井製薬のフォシーガ後発品のOD錠は「安定供給の観点から、収載希望が取り下げられた」。ニプロのAGは「収載希望がなかった」という。
沢井製薬及びT‘sファーマのフォシーガ後発品の成分は「ダパグリフロジン」。適応症は2型糖尿病のみで、先発品にある1型糖尿病、慢性心不全、慢性腎臓病(CKD)の適応は持っていない。フォシーガ後発品の薬価は、先発品が新薬創出等加算品のため、先発品の薬価から新薬創出等加算分を差し引いた上で、0.5掛け(=50%)で算定される。
◎ビムパットに10社29品目の後発品 0.4掛けで算定
フォシーガ以外の初後発品は、▽抗てんかん剤・ビムパット(一般名:ラコサミド、ユーシービージャパン/第一三共)、▽抗血小板薬・エフィエント(プラスグレル塩酸塩、第一三共)、▽前立腺がん治療薬・ザイティガ(アビラテロン酢酸エステル、ヤンセンファーマ)、▽慢性骨髄性白血病治療薬・タシグナ(ニロチニブ塩酸塩二水和物、ノバルティスファーマ)、▽LH-RH誘導体 マイクロカプセル型徐放性製剤・リュープリンSR注射用キット11.25mg(リュープロレリン酢酸塩、武田薬品)――となる。エフィエントとザイティガにAGがある。
ビムパット後発品は10社29品目が収載される。収載社名はヴィアトリス・ヘルスケア、共和薬品、沢井製薬、サンド、ダイト、高田製薬、日新製薬、日本ケミファ、日本ジェネリック、陽進堂――。ビムパット後発品は50mg錠、100mg錠、ドライシロップの3規格とも7を超える銘柄が収載される。このため後発品の薬価は、先発品の薬価から新薬創出等加算分を差し引いた上で、3規格とも0.4掛け(=40%)で算定される。
なお、T‘sファーマのフォシーガ後発品と、共和薬品のビムパット後発品については、アンドファーマのグループ会社である日医工、共和薬品、T’sファーマの3社が10月1日から共同プロモーションを始めた。3社は、「それぞれの強みを活かし、共同プロモーションを行うことで、医療関係者の皆様にジェネリック医薬品に関する情報をより広く、迅速にお届けできますように取り組む」としている。
◎エフィエントに2社 ザイティガに6社 タシグナに1社 リュープリンSRに2社の後発品
エフィエント後発品は2.5mg錠、3.75mg錠、5mg錠、20mgOD錠の4規格について、第一三共エスファと東和薬品の2社から8品目が収載される。全8品目がAG。
ザイティガは250mg錠について、沢井製薬、サンド、第一三共エスファ、ニプロ、日本化薬、日本ジェネリック――の6社6品目が収載される。第一三共エスファの後発品はAGで、同社は8月に「発売開始を12月に予定している」と発表している。
タシグナには沢井製薬の後発品が登場。後発品も150mgカプセルと200mgカプセルの2品目が収載される。
リュープリンSRの後発品は、あすか製薬とニプロの2社2品目が収載される。後発品の適応は前立腺がんと閉経前乳がんの2つ。先発品にある「球脊髄性筋萎縮症の進行抑制」の適応は、再審査期間が27年8月24日まで残っている関係で、後発品にはない。
◎AGは4成分11品目 アイリーアのバイオAGの薬価は先行BSと同額
厚労省によると、25年12月追補収載におけるAGは4成分11品目ある。エフィエントAG、ザイティガAGのほか、ヴィアトリスのザラカム配合点眼液のAG(後発品名:ラタチモ配合点眼液)、バイエルホールディング100%子会社・バイエルライフサイエンスが製造販売するアイリーアのバイオAGとなる。
アイリーアのバイオAGについて厚労省の担当官は、「アイリーアのバイオAGは、(富士製薬の)アイリーアBSがあるため初後発品の扱いにはなっていない。薬価は(11月12日収載の)BSと同額になる」と説明した。アイリーアのバイオAGの製品名は「アフリベルセプト硝子体内注射用キット40mg/mL「バイエル」」。薬価は2mg0.05mL1筒6万9894円。この薬価は、先発品から新薬創出等加算品分を差し引いた額に0.7掛け(=70%)で算定されたもの。BSやバイオAGの薬価は対先発の63%となっている。
このほか、今回の収載上位3社は、製品名変更など代替新規を除いたベースで、1位タイが沢井製薬と東和薬品の各9品目、3位は第一三共エスファの5品目――。代替新規を含めると、1位は東和薬品10品目、沢井製薬9品目、ヴィアトリス6品目――となる。