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ベーリンガーインゲルハイムジャパン 鳥居社長 One Team実践でグループの価値最大化

公開日時 2011/06/08 04:02

鳥居正男社長ベーリンガーインゲルハイムジャパンの鳥居正男社長は本誌とのインタビューに応じ、4月1日に統合した事業会社4社の事業価値を最大化するため、各法人の責任者が一堂に会するエグゼクティブ・コミッティーを週1回開催していることを明らかにした。グループ内の一体感を高めることを目的としたもの。同社が掲げる「One Team」を実戦するもので、「本社と事業部の距離をより近付けることができる」としている。そのほか法人間の人事交流を目的とした社内公募制や、鳥居社長が社員と直接対話する「Meet & greet」などを導入し、グループ内で垣根を越えた企業文化の共有化を図る考えを強調した。


ベーリンガーインゲルハイムは4月1日に、日本ベーリンガーインゲルハイム(医療用医薬品)、エスエス製薬(OTC)、ベーリンガーインゲルハイム ペトメディカジャパン(動物用薬)、ベーリンガーインゲルハイム製薬(製造部門)の4法人を統括するベーリンガーインゲルハイムジャパンを設立し、その社長に鳥居氏が就任した。鳥居社長は自身の役割について、「約3000人の社員が奏でる一つ一つの音を聞き分け、きれいなハーモニーを創りあげるオーケストラの指揮者のようなものだ」と語る。常に社員とのコミュニケーションに心掛け、自身の経営哲学の中にも“人財”の重要性を位置付ける。「社員のために私がいる。社員がのびのび仕事のできる環境をつくりたい。そのためには傾聴が大切だ。社員の話を真剣に聞くことが課題解決に結びつけることができる」と話す。製薬業界に38年間在籍し、そのうち17年間を社長職として努めてきた背景には、鳥居社長ならではの信条が込められていた。


◎東日本大震災で現れたリーダーシップ


リーダーシップという点では東日本大震災への対応にも現れた。地震、津波、原発事故などが相次ぐなかで、鳥居社長は社員へのメッセージを発信し続けた。まずは社員の安全確保。エスエス製薬の福島工場の従業員や、被災地で業務するMRへの対応は素早かった。特に被災地のMRからは、「現地の医療機関を手伝いたい」との要望が多数あがったとしながらも、いつ業務を再開させるかについては慎重に慎重を期したと振り返る。ただ、鳥居社長自らが東京に避難してきたMRや、仙台、郡山に直接出向き、MRから話しを聴いた際にも、「つらい思いをしたにもかかわらず、彼らは前向きであった。これを会社全体に伝えて前向きに取り組んでいかなければならないと強く感じた。ドイツ本社もこれを理解してくれた」と語り、業務再開に踏み切るきっかけとなったことを明らかにしてくれた。
 鳥居社長はリーダーとしての役割について「4月の新体制発足と3月の震災というのは、自然にダブりましたが、実際のケースで事前に証明することができたことは良かったと思っている」と振り返っている。


◎共通の価値観で9つのキーワード


4月の新体制発足を契機に新たな取り組みにチャレンジしている。4つの法人の責任者と統括会社が一体となってエグゼクティブ・コミッティーを発足し、One teamとしての意識の共有化を図ることはもちろんのこと、管理部門を集約化することにより、それぞれのビジネスを支援する体制を構築した。人事部門や財務部門の中に医療用医薬品、OTCそれぞれを担当するというというのも、そのひとつだ。


さらに法人間の垣根を越えて共通の価値観を持つ「Value through Innovation(=革新による価値のクリエーション)」の実現にも取り組む。この共通の価値観については9つのキーワードが用意されている。


一番の中心は「顧客志向」だ。鳥居社長は、「日本での顧客に対して価値を最大化するという意味」と説明する。しかし、社内にはもう一つの意味もあるという。それは「実際の顧客に接点を持っているMRが社内では顧客であり、MRの力を最大化できるようサポートしていかねばならない」と強調する。


そのほかのキーワードである「信頼・誠実さ」、「他者への配慮」、「情熱」について鳥居社長は、「これは基本的な価値」と位置付けている。さらに「オープンで透明なコミュニケーション」、「スピード」、「優れた実行力」、「チームワーク協働」、「起業家的な思考オーナーシップ」などをあげ、これらを生きた言葉とし、社員全員で意識するような取り組みを行っていきたいと意欲を示した。


社員全員との対話では、すでにタウンホールミーティングを8回開催した。さらに規模や形態を問わず鳥居社長が社員と直接対話する「Meet & greet」も心掛ける考えだ。こちらはすでに20回開催したという。最終的に全社員との対話を目指す。


鳥居社長はインタビューの最後に、「現場を大切にしたい。私はMRや開発としての経験はないが、より経験が無いゆえに現場主義でいかねばならないと考えている」と述べ、「社員から教えてもらってサポートしてもらうことが大切だ。社員から信頼され、見本となるように、そういう姿をみせることができるように真摯な態度を実践したい」と強調した。


 

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