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【ADAリポート】GLP-1受容体作動薬・リキシセナチド 日本人含むP3で2型糖尿病患者のHbA1cを低下

公開日時 2011/06/29 04:00


スルホニル尿素薬(SU薬)併用の有無にかかわらず、基礎インスリン(basal insulin)投与下で、GLP-1受容体作動薬のリキシセナチドを追加投与することで、プラセボ群に比べ、HbA1cが有意に低下することが明らかになった。日本人を含むアジア人2型糖尿病患者を対象に検討した臨床第3相試験(P3)「GetGoal-L-Asia」試験の結果から分かった。関西電力病院院長の清野裕氏が、米カルフォルニア州・サンディエゴで、6月24~28日まで開催中の米国糖尿病学会(ADA)のオーラルセッションで、27日発表した。


試験は、SU薬併用の有無にかかわらず、基礎インスリンを投与されている患者を対象に、プラセボに比べ、リキセナチドを追加することによる効果をHbA1cの観点から検討することを目的に実施された。対象は、日本、台湾、フィリピン、韓国のアジア4ヵ国から登録した311例。リキシセナチド群(154例)、プラセボ群(157例)に無作為に割り付け、24週間投与した。両群とも初回投与量10 µgから段階的に、20 µg(維持用量)まで増量した。主要評価項目は、24週間後のHbA1c値の変化とした。


ベースライン時の患者背景は、平均年齢がリキシセナチド群58.7歳、プラセボ群58.0歳。平均罹病期間はそれぞれ13.7年、14.1年、BMIは25.4 kg/㎡、25.2 kg/㎡、空腹時血漿血糖値(FPG)は7.67 mmol/L、7.75 mmol/Lだった。


HbA1cは8.54%、8.52%で、1日当たりのインスリン投与量は、それぞれリキシセナチド群が24.9 U、プラセボ群24.1 Uだった。被験者のうち60%がインスリン グラルギンを投与されていた。SU薬の併用率は、それぞれ70.1%、70.7%だった。リキシセナチド群では86.4%が24週間の治療を完了し、9.1%が有害事象により試験途中で治療を中止した。プラセボ群では91.7%が治療を完了、治療を中止したのは3.2%だった。


◎有害事象は吐き気が最も高率に



主要評価項目である、24週間後のHbA1cの変化(平均)は、プラセボ群(154例)で0.11%上昇したのに対し、リキシセナチド群(146例)は0.77%減少した。HbA1cが6.5%以下に改善した割合は、プラセボ群の1.3%に対し、リキシセナチド群では17.8%。7.0%未満に到達したのは、プラセボ群の5.2%に対し、リキシセナチド群は35.6%に上り、いずれもリキシセナチド群がプラセボ群で有意に高く、治療目標に到達していることが示された(いずれもP値<0.0001)。


食後2時間の血漿血糖値(2-hr PPG)の24週後の変化は、プラセボ群では有意な差がみれらなかったのに対し、リキシセナチド群は7.96 mmol/L低下し、また7ポイントSMPGの変化においても、プラセボ群には変化がなかったが、リキシセナチド群は1.91 mmol/L低下しており、どちらの評価項目もリキシセナチド群がプラセボ群に対し有意に低下していた(どちらもp<0.0001)。インスリン投与量についても、プラセボ群(157例)では変化がなかったのに対し、リキシセナチド群(151例)では24週目で1.39 U減少していた。一方で、体重の変化は、両群間で有意差はなかった。


リキシセナチド群では89%が治療中に有害事象を発生し、9.1%が有害事象により治療を中止した。有害事象は、吐き気が最も多く、39.6%発生し、吐き気により治療を中止したのは3.9%だった。また嘔吐は18.2%に発生した。
症候性低血糖症はリキシセナチド群で42.9%、プラセボ群で23.6%発生し、血糖値が60 mg/dL未満だったのはそれぞれ38.3%、20.4%で、リキシセナチド群で多い傾向がみられた。


SU薬を併用していた症例に絞ってみると、症候性低血糖症が発生したのはリキシセナチド群で47.2%、プラセボ群で21.6%だった。60 mg/dL未満への血糖値低下はそれぞれ42.6%、18.9%で、どちらもリキシセナチド群で高率だった。


一方で、SU薬を併用していない症例で症候性低血糖症となったのは、リキシセナチド群32.6%、プラセボ群28.3%、60 mg/dL未満への血糖値低下はそれぞれ28.3%、23.9%とで両群間に差はみられなかった。


これらの結果から清野氏は、「血糖コントロールが得られないアジア人の2型糖尿病患者において、基礎インスリンの単独またはスルホニル尿素との併用下で、リキシセナチドを追加することは、HbA1cと食後血糖のコントロールを有意に改善し、体重安定と良好な安全性プロファイルを示した」と結論付けた。


なお、同剤のP3としては、欧米、南米、アジアなど海外で、メトホルミンの投与の有無によらず、基礎インスリン投与下で、同剤の有効性を検討した「GetGoal-L」が実施されている。
 

 

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